200着にも及ぶレトロな衣装にも注目

山崎豊子原作の『女の勲章』(c)テレビ朝日
山崎豊子原作の『女の勲章』(c)テレビ朝日
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「ドライで狡猾で強引だけど、その部分も魅力に感じる銀四郎を、説得力を持って演じられるのは、玉木さんしかいないと思いました。ビジュアル、声、身のこなしに加え、大阪ことばを駆使することで銀四郎のえげつなさも不快でなく、スマートに感じると思います。

 物語は式子のサクセス・ストーリーに終始していません。登場人物それぞれの心情まで描いています。誰もが他人を蹴落としてのし上がっていくのではなく、自分が精いっぱい生きるために人にぶつかっていく。

 不器用だけど、必死で生き抜こうとしている姿を見ていると、活力が湧いてくるかと思います。ミステリーでもサスペンスでもないけれど、その人間模様にドキドキ、ハラハラしていただけるはずです」(太田P、以下同)

 愛憎劇にラブロマンスと、夢中になれる展開はもちろんだが、何よりの見どころは、レトロモダンなファッションとセットだ。

「まず、目で見て楽しめる映像に仕上がっています。“映像がきれいだった”と思っていただければ、本当に光栄です(笑)」

 式子の衣装だけでも60点。そのうちの10数点は『Yohji Yamamoto』、『Alexander McQueen』などでキャリアを積んだ中井英一朗氏のオリジナル。ほかにも主要女性キャストやファッションショーでモデルが着用するドレスまで含めると、200着にもおよぶ衣装が登場する。

「どの衣装も舞台である日本の高度成長期のものを研究したうえで、現代の人が見ても素敵と思えるように心がけています。美術セットやロケ先のセレクトも同様です。当時の建物やインテリアでも古く汚れていると、不自然なので、昔のものだけど、今見ても美しい品々を探し求め、奔走しました」

 おびただしい数の衣装、スタイリングにもこだわり、撮影現場は集中力が高まり、キャスト、スタッフは全力投球。

「印象的だったのは、パリでの撮影です。銀四郎との関係や仕事上の重責など、さまざまなものから式子が解放されるのですが、パリに到着したときの式子の表情は秀逸です。早朝の撮影でしたが、松嶋さんは非常に晴れやかな表情で、式子の気持ちを表現してくださいました。パーフェクト以上の演技です!」

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