「ヒロインが洒脱で小粋でなんとも小気味いい。私にピッタリの役だと思って(笑)」
泉ピン子主演の舞台『すぐ死ぬんだから』は、自身初の朗読劇であり、女優人生をかけて挑む意欲作。原作は内館牧子の同名ベストセラー小説で、まず本に惚れたという。「本がまぁ面白い。あっという間に読み切って、すぐ出演を決めました。
(役の)ハナの考え方がエキサイティングでとっても若々しくて、やっぱりこの役を演じるのは私しかいないわよね(笑)。女優人生の最後は朗読劇をとずっと考えていたけれど、これを集大成にしようという気持ちでいます」
夫役はピン子直々のご指名で
出演はピン子と夫・岩造を演じる村田雄治(62)の2人。村田といえばドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)など共演作も多いが、今回はピン子直々のご指名で出演が決まったという。
「村田さんとは息がぴたりと合う。もともと今日の彼があるのは私のおかげよ(笑)。橋田壽賀子先生のところに何度も連れて行っては“大きい役者に育ててやって”と頼み込み、NHKのドラマで役もついた。2時間ドラマにも彼をたびたび推薦してきたの。村田さんもすごく忙しい人だけど、私が声をかけたら絶対にノーとは言えないはず。それを見込んで出演をお願いしました(笑)」
ピン子演じるハナはビリジアングリーンの鮮やかなセーターに幾何学模様のスカートで颯爽と同窓会にあらわれ、同級生たちから羨望の視線を浴びる。そんなハナも、かつては岩造と営んでいた酒屋の切り盛りにかかりきりで、身なりに全く構わずじまいだった時期も。
しかしある出来事をきっかけに意識が変わり、外見磨きに励むようになる。一方ピン子も“シャネラー”と呼ばれるなど、ハイブランドの着こなしは有名だ。
「洋服や宝石にはかなりお金を使いましたね。シャネルにエルメスと海外ブランドは一通り着たけれど、私はどれも普段着で着ていましたから。あれがなければ今ごろは億単位の現金が手元にあったんじゃないかというくらい(笑)」
女優としての意識の高さはもちろん、華やかな装いは自身のポリシーゆえという。
「通帳を眺めながら年老いて死ぬか、それとも流行りのものをバンバン着ておしゃれをしながら今を生きるか。どちらの人生を選ぶかと考えたとき、生きている内は綺麗にしていたいと思って後者にしたの。化粧品も一番高いものを買うと決めています。これから先の人生長くはないし、そうそう減りもしないんだから、いいものを使わなくちゃね」