「顧みれば、1982年、私の最初の海外公式訪問国はブラジルでした。当時のフィゲイレード大統領をはじめ、ブラジルの皆さんから温かい歓迎を受けたことをよく覚えております。それとともに、貴国の国土の広さ、多様性、そして人々の明るさが強く印象に残っています。2008年、日本人ブラジル移住100周年にあたり、私は再び貴国を訪問いたしました。
(中略)ブラジルを訪問した際には、初期の日本人移住者の皆さんの手作りの道具類や資料を目にし、移住された皆さんが、さまざまなご苦労を乗り越えながら努力を重ねられたことを感じました。祖国日本を遠く離れ、ブラジルに移住された方々とその子孫である日系人の方々は、ブラジル社会の発展にも大切な一員として貢献してこられました。その背景には、日本人移住者を温かく迎え入れてきたブラジル政府、そしてブラジル国民の皆さんのご厚意があったことを忘れることはできません」
佳子さまと両親の秋篠宮ご夫妻ら出席の宮中晩さん会

国賓として来日したブラジルのルラ大統領夫妻を歓迎する宮中晩さん会が、3月25日夜、皇居・宮殿の「豊明殿」で開かれた。コロナ禍を経て、宮中晩さん会が開かれるのは約6年ぶりのことだ。
佳子さまと両親の秋篠宮ご夫妻ら皇族方、それに、プロサッカー選手の三浦知良さんや歌手のマルシアさんなど、ブラジルにゆかりのある著名人らも出席した晩さん会で、天皇陛下は前述したような歓迎の挨拶を述べた。
ブラジル側からの要望でドレスコードは「平服」となり、佳子さまは、水色のセットアップ姿だった。アクセサリーは、パールなどをあしらったネックレス、胸元にはパールとシルバーのこまやかな細工のブローチを着用した。また、宮中晩さん会に初めて出席した愛子さまは、春らしい淡いピンク色の装いだった。愛子さまと佳子さまは離れた場所に着席したが、“アイカコ”ペアと呼ばれるなど注目を浴び、メディアで大きく報道された。
日本を離れる前に記者会見したルラ大統領は、「これまで何度も日本を訪問しているが、今回が最も重要なものだった」と述べた。さらに、「天皇、皇后両陛下のお時間をいただいた。非常に有意義で、私にとって、人としてのぬくもりが感じられる天皇陛下のお言葉の中に本当に心にしみるものがあった」と、語ったなどと報じられた。
佳子さまは、今年6月上旬にブラジルを公式訪問する。今年は、日本とブラジルの外交関係樹立130周年にあたり、ブラジル政府から招待があったもので、約2週間の予定で、首都ブラジリアなど複数の都市を訪れるらしい。
宮中晩さん会の挨拶にあるように天皇陛下は'82年、自身初めての海外公式訪問でブラジルを訪れている。そして、陛下は、オックスフォード大学マートン校に留学するため、翌'83年6月末から'85年10月初めまでの2年4か月、イギリスに滞在した。留学を前にして記者会見が行われ、『新天皇家の自画像』(文春文庫)によると陛下は、「この修学が自分にとって新しい青春の1ページとなるよう有意義に送りたいと思っています」などと抱負を語っている。
そして、'88年6月、今度は秋篠宮さまが、日本人のブラジル移住80周年の節目にブラジルを訪れている。秋篠宮さまにとっても初めての外国公式訪問だった。秋篠宮さまは、
「ブラジルという国には小さいころから興味がありました。発展しつつあるブラジルを目の当たりにし、日系社会の皆さんとじかに接することができることを意義深く思います。(中略)広大な土地を持ち、いろいろな国から移住者を受け入れているわけで、移住者が風土と社会に順応していく寛容な国ではないかと思います」
などと、記者会見で答えた。