目次
Page 1
ー 右胸が「ズキン」……これはがんだと思った ー 病院には通っていたが乳がん検診は未経験
Page 2
ー 海外の乳がん経験者の声を聞いて手術を決断
Page 3
ー 退院後はデーブさんからの思わぬサプライズに爆笑
Page 4
ー 運動は嫌い。食事も好きなものを食べる ー 夫婦2人で過ごせる普通の日常がいちばん

 

 テレビプロデューサーでタレントのデーブ・スペクターさんの妻、京子スペクターさん。3月に夫婦で出演したトーク番組『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で、乳がん発症と両胸全摘出を公表。それまで、健康そのものだった京子さんが、胸の異変を感じたのは、昨年の8月下旬だった。

右胸が「ズキン」……これはがんだと思った

「ベッドに横になっていて右側に寝返りを打ったら、右胸の奥から『ズキン』という痛みが走ったんです。直感で、『これはおかしい……、がんだ』と思いました。どこで診てもらうのがいいか、すぐに自分で病院を探しました」

 自宅から近い乳腺外来を予約し、マンモグラフィーやエコー(超音波検査)などで検査。約2週間後、結果を聞きに行くと、右胸に2〜3センチの悪性腫瘍が見つかり、ステージ2だった。さらに左胸にもわずかに影があることがわかった。

「デーブには心配かけたくなくて、何も言わずにクリニックを予約し、結果が出てから伝えました。その後、のちに手術をしていただく大学病院で検査をしたのですが、それまでの間、ネットや動画で、乳がんについて自分なりに調べました」

 ただ、乳がんが専門の千葉大学医学部附属病院乳腺外科医・榊原淳太先生によると、乳房の痛みで初期のがんがわかることはまれだという。

「乳がんは初期の段階で痛みを感じることは少ないといわれています。しかし、診察をしていると、痛みが出て来院し、がんが見つかるケースがあるのも事実。しこりが大きかったり、リンパ節転移があるためではないかと考えています。がんによる痛みは患者さんにより異なるので、乳腺外科医はその声に耳を傾け、正確な診断につなげることが重要です」(榊原先生)

病院には通っていたが乳がん検診は未経験

手術前検査時の京子スペクターさん
手術前検査時の京子スペクターさん

 1988年にデーブさんと共に会社を設立して以来、会社代表としても妻としても、休みなく夫をサポートし続けけてきた京子さん。大きな病気とは無縁で、夫婦共に健康に過ごしてきた。

「定期的に血液検査はしていて、コレステロール値が高いので薬は飲んでいましたが、それ以外はいたって健康。血液検査では問題ないから大丈夫だろうと思って、実はがん検診や人間ドックはそれまで受けていませんでした」

 ほかには2年前から年1回、尿の臭いを線虫が嗅ぎ分けることでがんリスクを判定する「線虫がん検査※」を利用。がんが見つかる直前の7月ごろに、「リスクは低い」と判定が届いたばかりだった。同じころ、自治体から自治体健診のお知らせが届く。

「珍しく無料なら受けてみようと思ったんです。ただ、乳がん検診のマンモグラフィーはどうしても痛いイメージや、恥ずかしい気持ちもあり、このときもやっていません。だから『乳がんかも』と思って受けたのが人生初で」

 自治体健診も結果は「異常なし」。2つの検査を受けて安心した直後に、痛みがきっかけで乳がんと判明した。

「いろいろ検査をしたあとにがんが見つかったのに驚きました。もちろん、どんな検査も必ずがんが発見できるわけではないですし、誰もが初期症状があるとは限りません。私の場合は、たまたま痛みが出て、すぐに病院に行き、先生が早期に見つけてくださいました。本当に運が良かったですよね!」