目次
Page 1
ー “1日遅れで書く”がポイント
Page 2
ー 悲しい記憶も脳活には大切
Page 3
ー 手帳の虫食いは気にしない

 

 物忘れなどが多くなり、中高年世代でも将来が心配、と感じる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが『脳活手帳』という方法。

“1日遅れで書く”がポイント

日記を1日遅れで書くというものです。月曜日には日曜日のことを思い出して書くわけです。さらには1日を午前・午後・夕方・夜の4つに分けてそれぞれ手書きしてもらいます

 そう話すのは、脳神経外科医で“脳の名医”の異名をとる石川久先生だ。手帳に書き込むだけで予防になるという『脳活手帳』を提唱。なぜ当日ではなく、1日前のことを書くのか。

「1日前の午前中に何をしたかを書こうとする際には、まずは“今日はこれをしたけど、昨日の午前中はどうだったかな?”と当日の行動を振り返り、それから前日の記憶を引っ張り出してきますよね。

 1日前のことを書くことで記憶の復習を2回することになり、より脳を働かせることになります。ちなみに、1回の振り返りでは記憶の定着率は30~50%ほどですが、2回振り返ると50~80%に上昇します。

 記憶を2回引っ張り出すことで、より強く脳に定着させ、記憶力をより高めることができるのです」(石川先生、以下同)

 スマホやパソコンではなく、手書きするという点がよいそう。

※写真はイメージです
※写真はイメージです

「書くという動作は、記憶を復習しつつ手を動かしながら文章を作る行為だからです。手を動かしながら書くときのスピードは、脳で記憶を復習しつつ文章として再構築するのに最適な速さ。さらに、それを小さな限られたスペースに書くことがおすすめ。短い言葉にまとめる思考力の向上に役立ちます」

 パソコンなどに頼っての入力では、入力が上達すれば上達するほど記憶を引き出すには速すぎる。“あれは漢字だと、どう書くのだったかな?”と、脳を動かす機会も減ってしまう。

「手を動かすということもいいんです。あまり字を書かないデジタルネイティブな若年層には、将来に不安を感じることもあります」

 脳活手帳を実施した人からは、《書くことにより、記憶力の向上と漢字力の向上が表れている気がする》(59歳男性)《ひと言でまとめる癖がつき、日常生活でも考えをうまくまとめられるように》(78歳女性)といった驚きの声が、多数寄せられているという。