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ー 大阪・関西万博に想いを馳せる天皇陛下
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ー 上皇ご夫妻の初めてのブラジル

「『大阪・関西万博』を契機として、世界の人々が、自分自身だけでなく、周りの人々の『いのち』や、自然界の中で生かされているさまざまな『いのち』も尊重して、持続する未来を共に創り上げていくことを希望します」

大阪・関西万博に想いを馳せる天皇陛下

64歳のお誕生日に際し、宮殿内で事前に記者会見を行った陛下(宮内庁提供)
64歳のお誕生日に際し、宮殿内で事前に記者会見を行った陛下(宮内庁提供)

 大阪・関西万博が4月13日午前、大阪市の人工島、夢洲で開幕した。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日までの期間中、未来社会を形づくる理念や先端技術を発信する。158の国・地域、7国際機関が参加し、計約2820万人の来場を見込んでいる。日本での大規模万博は2005年の愛知以来20年ぶりで、大阪では1970年以来、55年ぶりとなる。

 開幕前日の12日、開会式が行われ、佳子さまの伯父である天皇陛下は、前述したように挨拶した。また、陛下は10歳のとき、大阪万博を訪れた思い出に触れながら、

「博覧会の会場を何度か訪れ、さまざまな国のパビリオンを巡って、世界の人々との触れ合いを実感するとともに、月の石を見たり、ワイヤレステレホンでの通話を楽しんだりして、当時の最新の技術に驚いたことなどを今でもよく覚えています」

 と述べ、「今回の博覧会を通じて、子どもたちが世界の国や地域、人々への理解を深め、次世代の技術や、SDGsの達成に向けた世界の取り組みなどにも触れることにより、未来の社会について考えることを願っています」などと語った。

 開会式には、皇后さまや万博名誉総裁を務める秋篠宮さまと、紀子さまも同席した。陛下の挨拶に続き、秋篠宮さまがパネルに手をかざすのを合図にセレモニーが行われた。

 天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻は11日、大阪市を訪れ、大阪・関西万博の会場を視察し、万博のシンボル「大屋根リング」に上り、リングの構造などについて説明を受けた。両陛下とご夫妻そろっての視察は、園遊会などの皇室行事を除いて令和になって初めてといい、仲の良いきょうだい夫妻の姿が話題となった。

「ペルー、アルゼンチンおよびブラジルの三国を訪問することとなり今、出発いたします。これらの諸国はわが国から地理的に最も遠い国々でありますが、早くから多数の日系人が在住し、それぞれの国で大きな役割を果たしていると聞いております。

 私たちは、わが国との関係が深いこれらの国々の実情を見聞し、また、そこに活躍する日系人や在留邦人に接する機会をできるだけ多く持ちたいと思います。このたびの訪問が、これらの諸国との友好親善に、いくらかでも役立つことを心から念願しております」