現在の20代、実は平均すると“交際相手ナシ”の男女が約7割。そのうえ約4割が「恋人はいらない」そうだ。その一方で、20代の9割は結婚を望んでおり、なかでも恋愛結婚を望んでいるという。恋愛はしたくないが、結婚それも恋愛結婚がしたいという“矛盾”が起きている――。
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牛窪恵(うしくぼ・めぐみ)●マーケティングライター。インフィニティ代表取締役。1968年東京生まれ。日大芸術学部映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社。その後、独立し2001年に起業。「草食系男子」「年の差婚」などを世に広める
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『ホンマでっか!? TV』(フジ系)や『ワイド! スクランブル』(テレ朝系)など、さまざまなメディアでお馴染みのマーケティングライター・牛窪恵さん。彼女が取材・執筆した『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー携書)が話題を呼んでいる。

 今回のインタビューでは、過去80年代~90年代半ばまでのあいだにヒットした恋愛ドラマを読み解きながら恋愛や性、そして結婚が、時代によって如何に変遷してきたのかを分析する。

――性と恋愛と結婚観の変遷。牛窪さんは本のなかで、50年代後半〜70年代において、性と恋愛と結婚は連動して切り離せないもの、つまり「三位一体」だったと指摘されています。ところが、80年代以降、性と結婚の分離が進み、「自由恋愛」の気運が高まってきたと。恋愛観の変化はドラマにも反映されているのですか?

牛窪:明石家さんまさんと大竹しのぶさんの共演でも有名な『男女7人夏(秋)物語』(TBS系)。12日に、TBSの特別番組で29年ぶりに当時の主要キャストが再集結することで話題ですね。

 夏物語が1986年に、秋物語が1987年に放送されましたが、ここでは数名の男女が集まって、同じコミュニティ内でセックスしたり、別れたりを繰り返すという、「自由恋愛」が描かれていますよね。

 当時はそれが新しかったわけですけど、SNSなどで常に行動を監視し合ういまの若者たちは、グループの和を乱すのではないかと危惧して、同じコミュニティでは恋愛をしない傾向にあります。

――たしかに、いまの若い世代はSNSの発達などもあって、常に周りの空気を敏感に読んで行動するのが当たり前。誰が「いいね!」を押したか、あるいは「リツイート」しているかなどを意識している若い人たちは実際に多いですね。

牛窪:ええ。そして、80年代以降のドラマにおいて注目すべきキーワードは「告白」です。夏物語の一番有名な場面は、降りしきる雨のなか、ゴミ捨て場にて、さんまさんが大竹しのぶさんに「好きやねや!」と告白するシーンなんですよね。

 あるいは、1991年に放送された『101回目のプロポーズ』(フジ系)でも、武田鉄矢さんが「ボクは死にましぇーん」とトラックの前に立ちはだかり、命がけで告白をしていますが、「告白」というのは交際において、決定的なイベントだったんです。