相撲リポーター歴30年の横野レイコさん
相撲リポーター歴30年の横野レイコさん
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 つまり稀勢の里も、自分が毎回、同じことしか言えなくて申し訳ないと、思ったのだろうか。稀勢の里は“多くは語らない不器用な男”というのが、世間のイメージだと思うけど、横野さんは、稀勢の里の本当の顔を知っていた。

義理堅い稀勢の里

「今年の初場所、稀勢の里は優勝して、いよいよ横綱になりました。そのときはワッと各局が稀勢の里へ『インタビューさせてください、生出演お願いします』と押し寄せたんです。基本、彼はテレビ出演はせず、これまでも依頼があってもすべて断ってきました。

 でも、このときばかりは、『フジテレビには行きます』と、自ら親方にも掛け合ってくれ、来てくれたんです。そういうことをしてくれた力士は今までいないんですね。これまで、ある意味インタビューには苦労しましたが、諦めずにやってきてよかったなぁ、と思いました。なんとも義理堅い人です。本当にありがたいなと感じました」

 記者冥利に尽きる素敵なエピソード。稀勢の里、なんてステキな人だろう!

「横綱はどちらかというと明るい青年で、割とおしゃべりな人なんです。だから意外と早口なんですよ」

 それもまた意外な気がする。横野さんしか知らない大相撲の打ち明け話、ぜひともまたそれも一冊にしたためていただきたい。

「今回、お茶屋さんの本を作らせていただき、まだまだ大相撲について知らないことだらけだなと思いました。なんと奥深いことか! 私の記者歴30年ぐらいなんて、長い相撲の歴史に比べたらひよっこだなって打ちのめされたところです。これからも色々な形で大相撲を紹介していきたいです」

 本場所へ足を運ぶ際は、ぜひお茶屋さんにお願いして粋な相撲観戦をおすすめしたい。


横野レイコ(よこの・れいこ)◎相撲リポーター 昭和62年からフジテレビ『3時のあなた』『おはようナイスデイ』を経て『情報プレゼンターとくダネ!』のリポーターに。30年以上にわたって相撲の世界を取材し、女性相撲ジャーナリストの第一人者に。若貴ブームの時代には、誰よりも近くで彼らの成長を見守り、著書に『お兄ちゃん 誰も知らなかった若乃花の真実』(フジテレビ)がある。また外国人力士に焦点を当てた『I am a RIKISHI』(扶桑社) 、『朝青龍との3000日戦争』(文藝春秋)など多数。

和田靜香(わだ・しずか)◎音楽ライター/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生などに関するエッセイも多い。主な著書に『ワガママな病人VSつかえない医者』(文春文庫)、『おでんの汁にウツを沈めて〜44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー』(幻冬舎文庫)、『東京ロック・バー物語』『スー女のみかた』(シンコーミュージック・エンタテインメント)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。