木村と香取に施した英才教育

 チーフも含めてマネージャーたちはもっぱら現場仕事で、事務所に来ることは珍しかった。が、Iマネージャーだけは毎日、事務所に出社して、それから現場にも顔を出していた。ジャニー社長にもマネできないような、愛情の注ぎっぷり。SMAPがいかに長く、高い人気を保っていけるかだけを考えてのことだ。

 ときにはこんなシビアな決断も見せた。'96年放送の『透明人間』(日本テレビ系)で香取の人気が急上昇し、雑誌の人気ランキングで木村拓哉を抜いてしまったのだが……。

「Iマネージャーが香取の1位を許さず、木村を1位にせざるを得なかったそうです。そのときに彼女が言ったのは、“SMAPの一番人気は木村です”というひと言。あくまでSMAPは木村を不動のエースとして芸能界のトップに君臨するのであり、その座は同じメンバーであっても脅かされてはいけないというわけです」(元スタッフ)

 香取をわが子のように可愛がっていたIマネージャーだが、“SMAP愛”はその思いすら超えるものなのだろう。

 ところで、木村と香取はグループでも一、二を争うオシャレ好きだ。そこにも、Iマネージャーの影響があった。

 29日に発売された新刊『SMAPがいた。僕らがいた』には、「これからのアイドルには同性の支持も必要」「いまどきの男の子みたいな服を着たほうがいい」という考えから、Iマネージャーがふたりに英才教育を施した話が紹介されている。

「日本のボーイズファッションをリードするカリスマスタイリスト2人を連れてきて、SMAPを担当させた結果、サーファーとかのアメリカンカジュアル志向の野口強さんが木村さんと意気投合。ヨーロピアンでドレッシーなモード系を得意とする祐真朋樹さんが香取さんと仲良くなったんです」(元スタッフ)

 光GENJIあたりまでのアイドルは、キラキラ&ヒラヒラの王子様ファッションが定番。そこにいまどきのかっこよさを取り入れたことで、SMAPはビジュアル的にも新しいアイドルとして支持された。同書には、香取のこんな変化が描かれている。

《身長などの体型にも恵まれた香取は、おしゃれにどハマリして、どんどんエスカレート。『服バカ至福本』(集英社)というDVD付きの本まで出してしまった。そこには、洋服用に借りているという倉庫のなかでお気に入りの服について嬉々として説明する姿が。洋服に使ったお金は2億円ともいうから、もはや趣味とかのレベルではない。》

 世間的にはまだあまり見せていないこうした才能も、今後は大きな武器となるだろう。そう、Iマネージャーはグループを売るだけでなく、メンバーの人間力も養ってきた。事務所に残ったふたりも含め、元SMAPたちは彼女によってもたらされたものを支えにしながら、みずからの道を切り拓いていく──。

『SMAPがいた。僕らがいた』(主婦と生活社)。SMAP、TOKIO、KinKi Kids、V6、嵐など、先輩後輩たちのつながりや意外な素顔、ジャニー社長との関係もスタッフ目線から描く1冊 ※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページに移動します
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