事件現場となった小松容疑者の自宅がある県営アパート。周囲には焼け焦げたニオイが漂っていた
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弟思いの姉

 そんな父親の評判の反面、近所の人が涙ながらに思い出すのは下の弟たちと遊んでいた長女・夢妃さんの姿だ。

「いつも姉弟5人で遊んでいて僕たちと遊んだことはあんまりなかったけど……」

 近所に住む小学生の男の子は表情を曇らせる。娘が夢妃さんと同じ小学校に通っているという近所の母親は、

「うちに遊びに来たときは双子ちゃんも一緒に連れてきていました。いつも弟の面倒をよく見るお姉ちゃんでしたね」

 亡くなる前日まで学校に通っていた。1・2学期の欠席は0日。教師たちも、周囲を気遣う夢妃さんを覚えている。

「面倒見がよくて、友達のこともよく気にかけてくれていました。クラスの男の子の荷物の整頓を手伝ったり、しっかりした一面があったようですね。家事の手伝いも進んでよくすると、話していました」

 と校長。続けて教頭が、

「頑張り屋で、教師や大人の手を煩わせることがないように気をきかせてやってくれるような印象はありましたね。いつも人懐っこいニコニコした笑顔が印象的な子でした」

 弟思いの夢妃さんは、離婚に向かう両親を、どう見ていたのか。小学6年ともなれば状況が理解できる年齢だ。

「いい子にすれば両親が仲よくしてくれるのでは、という淡い期待があったことも考えられます」(前出・鈴木准教授)

 事件現場から車で約15分のところに、恵さんの実家がある。恵さんの母親が経営する美容院に通っていた女性は、「恵さんのお母さんはあまり自分の話はしないのですが、“娘のとこの孫が5人いるの、面倒見るのが大変”ってうれしそうに話すのを聞きました」

 実家の窓はカーテンが引かれたままで人の気配はない。

 恵さんのSNSには、笑顔の家族旅行の写真、3歳の双子の誕生日を祝う写真などが残されている。『家族』を守りたかった少女の願いを、夫であり父である小松容疑者が根こそぎにした。