忌野清志郎さんの場合

 一方、ライブ後のある“儀式”で現実に引き戻されているというのが、三代目J Soul Brothers

 長時間にわたって激しいダンスで観客を魅了する彼らだが……。

「激しい運動をこなしたあとの身体をクールダウンさせるために、楽屋に用意されたキンキンの氷風呂に入るのがしきたりになっています。メンバー全員が入る決まりなのですが、あまりの冷たさに、みんな絶叫していますよ(笑)」(公演関係者)

 終演後に帰路につくファンが夢心地のなか、メンバーが悲痛の叫びをあげているとは驚きだ。

 一方で、現実的な都合により、ステージを降りたらすぐスイッチを切り替えなければならないケースもある。『RCサクセション』のボーカルだった故・忌野清志郎さんは、初めての武道館ライブのあとに、こんなエピソードを残している。

「ライブは大成功で、これから打ち上げだというときに、清志郎さんが帰り支度を始めたのだそうです。驚いたスタッフがそのワケを聞くと、“いや、銭湯が閉まるから”と。

 当時はあまりバンドマンが稼げる時代ではありませんでしたが、まさか彼が風呂なしの部屋に住んでいるなんて、誰も思わなかったでしょうね」(別のレコード会社関係者)

 経済的な事情で夢のようなステージから日常に引き戻されるのは、現在のアーティストも同じのようで……。

「ライブ会場のなかには撤収する時間が決まっている場所も少なくありません。確保している時間を少しでも過ぎると、何十万という延長料金が追加されることもあります。なので、ステージの余韻にひたる間もなく、“早く着替えて撤収!”なんてこともよくありますね(笑)」(芸能プロ関係者)

 あわてて会場を後にする人もいる一方で、楽屋に引きこもるスターも。

「楽屋にはお菓子からボディクリーム、化粧品などの日用品にいたるまで、たくさんの差し入れが届きます。アーティストのなかにはステージが終わったあと、すぐに持ち帰る品物を吟味する方もいますね」(前出・芸能プロ関係者)

 悲喜こもごもの舞台裏。まぶしいばかりのスターたちにも、ステージを降りると、それぞれの日常がある。そう思うと、ライブ後もよりいっそう楽しめるかも!