「私の前の会社で竹内さんがトレーニング・治療をしていた縁で今も定期的に診ていますが、自分の身体の状態をよく理解し、端的に説明してくれるので、こちらも対処しやすい。

 “調子どう”と聞くと“順調です”と笑顔で返してくれて、とにかくポジティブな人だと痛感させられます。リハビリは相当ハードだったと思いますが、彼女は“大変”とは絶対に言わない。頭抜けたメンタルの強さがあるから8か月後には完治し、何事もなかったかのように雪上を滑っていたんでしょう」

 強靭な精神力に太鼓判を押すのは、大岡氏だけではない。目下、ともに肉体改造に当たっているアスレチックトレーナー・友岡和彦氏も「厳しいメニューも意欲的にこなしているし、フィジカルの状態も右肩上がり。まさにスーパーウーマンです」と目を輝かせていた。

ハードなトレーニング。50キロを超えるバーベルを軽々と持ち上げることもできる
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 2017年7月下旬、東京・有明の株式会社ドームにあるトレーニングジムで、竹内は友岡氏の指導の下、汗を流していたが、35kgもの砂袋を背中にのせて20mほど這う、50~60kgの器具を前に押しながら歩く、50kgを超えるバーベルを複数回上げるといった、常人には考えられないハードメニューを楽々と消化していた。

「今の時期は負荷を下げている時期ですから、そんなにきつくないですよ」と彼女は1時間近くエアロバイクをこぎながら、にこやかな笑顔で話してくれた。30代に入って衰えるどころか、一段とパワフルさに磨きがかかっているのは確かだ。

なぜフィジカルトレーニングを頑張るのかっていったら、1年間戦い抜ける体力、ケガをしない身体を作りたいから。何かテクニックを習得したい時にプラスになればいいと思ってやってます。

 でも今日バーベルを50kg上げられたからといって、スノーボードが0.1秒速くなるとは限らない。トレーニングの数値に固執しすぎるのはよくないし、逆に甘えてしまうのもマイナスになりかねない。微妙なバランスをとりながらやってます。ただ、正直言って、年齢的な衰えとか限界は一切感じないし、どんどん強くなってる印象です。

 そういう肉体的な部分も含めて、自分には今、金メダルを目指せる環境が用意されている。チャンスがあるならもう1度、頂点を狙いたい。そう思いながら今の時期を過ごしています」と竹内は平昌を半年後に控え、静かな闘志を燃やしていた。