たとえば、予定のないお休みの日に友人から会わないかと連絡が入ったと仮定します。これから身支度をするのが面倒だなと思いつつも、会いたい気持ちが強ければ、即行動に移すと思いますし、そうでなければ、「明日早いから」とか「今週は疲れているから」などと、即座に断る理由を探し始めるでしょう。

 もちろん、仕事をはじめ、やらなければならないことはたくさんあります。だからこそ、取捨選択が必要なのです。迷いは、自分の心からのメッセージだと思って、迷ったら「本当に自分に必要なことなのか」と自分の気持ちに向き合う機会にしましょう。

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です
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自分の本当の気持ちに向き合う

 そして、「やるべき」ことだけど、「やらなくてもよいこと」に過剰なエネルギーを注ぎこまないことが大切です。

 たとえば、専業主婦の立場で、家族には手料理を作るべきという強い思考があれば、お惣菜を買うことに罪悪感を覚えます。同じように妻に対して夫が同じ思考を持っていた場合に、妻が買ってきたお惣菜を見て「手抜き」だと腹が立つわけです。

「べき」思考は、気持ちのゆとりを奪い、あたかもほかに選択肢のない正論のように自分自身、そして相手を追いつめやすいものです。

 自分の気持ちを大切に、そこまでして「すべき」ことなのかを、自分の心に聞いてみてください。そして、少しずつ「べき」思考を手放していくことが重要です。

 ちょっとしたとらえ方の差が、気持ちのゆとりに大きな違いを生んでいきます。ぜひ、思考グセを「プラス」に、そして「柔軟」にシフトできるよう意識することを試してみてください。


大野 萌子(おおの もえこ)◎日本メンタルアップ支援機構 代表理事 法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。公式HP。コラムサイトでも執筆中。