お付き合いが始まってから、あんなにうまくいっていたのに、いったい何があったのか。解せなかった私は、高橋さんの相談室に電話をし、仲人さんに交際終了の理由を尋ねました。

 仲人さんは、言いました。

「実は、39歳の女性からの申し込みがあったんですね。彼がそれを受けてお見合いをしたんです」

 結婚相談所には、交際と真剣交際の区分があり、交際期間中は何人とお付き合いしてもいいし、新たなお見合いもしていい。

 それを経て一人を選び、結婚に向けての真剣交際に入るのです。高橋さんとは、まだ真剣交際には入っていなかったので、新たなお見合いをしたとしても、それをこちらがとやかく言えません。

 仲人さんは、続けました。

「相手はすごくマメな女性で、高橋がメールを送るとすぐに返事がくるし、とても明るくて楽しい女性なんだそうです。彼女と交際に入ってからは、夜、メールを4往復、5往復するようになったようで、高橋の気持ちがそっちに移ってしまったんです。本当に申し訳ありません」

 それならば仕方がない。私は、“交際終了”が来たことを、敦子さんに伝えました。敦子さんは、沈んだ声で言いました。

「メールがこなくなったから、“ああ、交際終了になるのかな”と思っていました」

 その日の敦子さんには、あえて交際終了の理由を伝えませんでしたが、日を改めた面談で話をしました。すると、敦子さんは、言いました。

「私は、高橋さんからメールをもらうと翌日、返信していました。鎌田さんからは、『メールは毎日してね』と言われていたけれど、高校生でもあるまいし、すぐにメールを返すのはどうなのかなって。

 あと、彼からメールが来たら返すようにしていて、私からメールを入れたことがなかった。女性はやっぱり待ちに徹したほうがいいと思っていたので。1日に4往復も5往復もメールをする発想は、私にはなかったです」

 結婚をしたいと思って婚活しているのは、自分一人ではないのです。“忙しい”を理由にして、連絡を取らなかったり、デートを先延ばしにしたりしたら、忙しくてもお相手のために時間を作っている人に負けてしまいます。

 また、“男性を追いかけるなんて、はしたない。女性は待ちに徹したほうがいい”なんて時代錯誤なことを言っていたら、積極的に行動を起こし、お相手から“選んでもらえる努力”をしている女性に、好きな男性を持っていかれてしまいますよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/