すでに火葬された麻原死刑囚

 麻原死刑囚には妻子がある。前出の野田氏は「家族が引き取るのではないか」と推測する。

麻原死刑囚と切れていない後継団体が遺骨を欲しいとしても、分骨などはできないでしょう。麻原死刑囚とつながっていると公に認めるようなものですから。仏教の信者にとって、教祖の遺骨には宗教的な価値があるんです。

『仏舎利』とはお釈迦さまの遺骨のことですが、ありがたがって塔を建てたり、供養する法会を行う。だから後継団体の信者の信仰対象にならないように処分するのがいいと思いますが、僕は口を挟める立場にはありません」と野田氏。

 麻原死刑囚は生前「遺灰を四女に」と意思を示したというが、今のところ四女は引き取りを望んでいないとの情報もある。

 一方、妻と6人の子どものうち長女と四女をのぞいた4人は、「(麻原死刑囚の)精神状態からすれば、特定の人(四女)を引き取り人として指定することはありえない」と主張し、遺体の引き渡しを求める要求書を、川上陽子法相らに提出した。

 そんな麻原死刑囚の遺体は、妻側と四女の同意のもと、9日に火葬された。が、遺骨の引き取り先は、決まっていないため、当面、東京拘置所内で預かると見られる。

 葬儀はどうなるのか。オウムで信者が亡くなった場合、通夜・告別式は営まず、死後49日以内に『四十九日の儀式』を執り行うという。

49日以内に輪廻転生(生まれ変わり)すると言われていますので、その儀式をするんです。しかし、麻原死刑囚は教団トップですし、下の信者が上の者に行うことはできないと解釈されているので信奉者でもやらないでしょう。

 後継団体が信者の求心力を高めるため、葬儀のかわりになるようなイベントをする可能性はあると思います」(野田氏)

麻原死刑囚の刑が執行された東京拘置所前には多くの報道陣が詰めかけた=6日
すべての写真を見る

 戒名は誰がつけるのか。教団にはカタカナの『ホーリーネーム』があったが……。

 野田氏は、

「麻原は麻原です。教団で最上位ですから、誰かの世話になることなどないという教義でした。つまり、第三者に戒名をつけてもらうはずがない。家族も信奉者も望まないでしょう

 東京拘置所の3か所の出入り口前には6日、60人以上の報道陣が集まり、麻原死刑囚の遺体の引き取りを待った。

 東京・足立区のアレフの施設では、カーテンを閉めた窓の隙間から外の報道陣の様子をチラチラうかがう信者の姿があった。しかし、信者らが外出することはなかった。