だが、昨年6月に海老蔵の妻である麻央さんががんのため他界。襲名を陰で支える“梨園の妻”はいない。

おかみさんがいないから襲名は難しいという声がありますが、そんなことはない。成田屋を支えてきたのは、海老蔵の母親である希実子さんですからね。むしろ、彼女が元気で動けるうちに襲名を行いたいというのが本音ですよ」(成田屋に近い人)

 麻央さんが亡くなったあと子どもたちの小学校や幼稚園の送り迎えは彼女の母が、そして、ご贔屓筋などへの挨拶は希実子さんが行っている。

 そこで、7月11日に自宅から出てきた希実子さんに話を聞いた。

希実子さんを直撃すると

─勸玄くんがすごい人気ですね?

「ははは、ありがとうございます」(孫の話題に笑顔を見せる)

─来年4月の襲名興行が決まったそうですが?

「ええー。ないですよ。すみません」

 そう言い残すと、笑顔のまま車に乗り込んだ。

 そこで、松竹の歌舞伎座宣伝部に聞くと、「そのようなことは聞いておりません」と言うのだが……。

「'19年4月は、天皇陛下の代替わりと重なり畏れ多いという声もあり、松竹もまだ悩んでいるとか。

 ですが、即位の礼などの行事がめじろ押しなのは秋ですし、春であれば問題ないのではという意見が多い。

 このタイミングを逃すと'20年春まで待つことになり、'19年からスタートさせておいて、新鮮味が落ちる2年目の襲名興行でオリンピック人気にあやかるという会社の皮算用が狂ってしまうんです。現在も海老蔵さんの実家の土地は、團十郎さんの借金を肩代わりした松竹の名義になっている。

 10億円ともいわれる負債を返済してもらうためにも、襲名興行でがっぽり儲けたいのでしょう」(松竹関係者)

 チケット代金は通常の5割増しほどになるとか。勸玄くんの無垢な笑顔のウラで、複雑な大人の事情が絡み合っているようだ─。