意外と子どもっぽいキャラになったかも

 濱田さんは半年前の今ごろ、ちょうど同じ稽古場で『メリー・ポピンズ』の厳しい稽古に奮闘していた。「今回も大変ですけど『メリー』に比べると真逆」という。

濱田めぐみ 撮影/廣瀬靖士
濱田めぐみ 撮影/廣瀬靖士
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「『メリー』のときは演じる役が“完璧”な人でしたので、プレッシャーがすごかったんです。動きもすべて決まっていて、自由なんて1ミリもなかったですから。でも、それを経験してから今回参加したことで、いま楽しくできているところがあると思います」

 ランダムスター夫人というキャラクターに対しても、「意外とすんなり」向き合えているそう。

「自分たちがマクベス夫人と聞いてイメージする、おどろおどろしいとか、憎念とか権力欲の人というだけでなく、演出のいのうえひでのりさんが私の中から引き出してくれた面白い部分が加わっているんです」

 濱田さんならではの、意外な面白さとは?

いのうえさんは私を“デキる人”だと思っていた節があるんですね。ところが“アレ、めぐちゃん!? なんでこんなに抜けてるの!?”となった(笑)。そこを膨らませていただいているから、今回のシリーズで夫人役をやる3人の中で、私がいちばん子どもっぽいかも!?」

 そして今回、夫のランダムスター=マクベスを演じる橋本さとしさんは、もともと所属していた劇団☆新感線へ、21年ぶりに原点復帰。濱田さんはそんな橋本さんを支え“内助の功”を発揮する存在でもある。

「さとしさんの演じるランダムスターは、すごく人間的。主役だし客席が回転する劇場だし21年ぶりの古巣で感慨深そうだし、やることがすごく多いから目が白黒しちゃって“大丈夫かな?”と思うところもあります(笑)。

 でも、さとしさんと(橋本)じゅんさんの掛け合いは関係性が確立しているからこそ面白くて笑いをこらえるのが大変だし、集中しているときのさとしさんはすごくカッコいい。だから、さとしさんが集中できるよう、私は母性本能を発揮しつつ、メッチャ働かせます(笑)

 殻を破った濱田さんのパワーが、この劇場でどう発揮されるかにも期待。

最初こそ自由を逆に不自由と感じたりして立ち往生しましたが、みなさん優しいので、慣れたら楽しくてしかたない。もともと劇団にいたから居心地がいい部分があって、勝手に劇団☆新感線カラーに染まっています。お客様はきっとすごく笑えますし、エネルギーが沸き立って、とにかく飽きません。劇場に来てさえくだされば、やみつきになること間違いないので、ぜひ、この特別な劇場で楽しんでほしいです!」

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc 1 produced by TBS
ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc 1 produced by TBS

<出演情報>
ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc 1 produced by TBS
劇団☆新感線がロックの生演奏にこだわった、“音モノ”の異色作。シェークスピアの『マクベス』を近未来の『マッドマックス』の世界観で、という演出家・いのうえひでのりさんのリクエストに宮藤官九郎さんが見事に応え、2006年の初演は大ヒット。2218年の荒廃した未来と、バンドブームに沸く1980年代の日本が交錯し、圧倒的なエネルギーとユーモアで物語が紡がれていく。今回は360度回転するIHIステージアラウンド東京(豊洲)にて、disc1~3まで3組のキャスト&新演出により上演。disc1は7月23日~8月31日。

<プロフィール>
はまだ・めぐみ◎1972年、福岡県生まれ。1995年、劇団四季に入団し、翌年『美女と野獣』のヒロイン、ベル役に大抜擢。2010年の退団まで、劇団の看板女優として『アイーダ』や『ウィキッド』など、数々の作品で主演を務めた。退団後も卓抜した歌唱力と演技力を生かし、ミュージカル界を牽引。主な出演作に『ラブ・ネバー・ダイ』、『サンセット大通り』、『ジキルとハイド』、『メンフィス』、『メリー・ポピンズ』などがある。

<取材・文/若林ゆり>