いじめ以上に大人たちの“保身”と“嘘”に傷ついた

 埼玉県川口市の市立中学校に通っていた林昌之くん(15=仮名)は'15年5月以降、サッカー部のLINEグループからはずされるなど、いじめを受け続けた。そのため3年間で4回、学校に通えない期間があった。だが、学校や市教委は昌之くんや母親・晴海さん(仮名)の話をよく聞かず、調査委員会の設置が遅れ、不登校の学習支援も怠った。

 そんな市教委に対し、県教委や文部科学省は再三再四、助言や指導を繰り返した。その詳細なやりとりは、昌之くんと晴海さんが行った個人情報開示請求で明らかになっている。県教委が作成した文書はA4用紙で146ページにも及ぶ。

進学した高校でもサッカー部に入部した昌之くん。中学時代に続けられなかった無念は消えない
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 昌之くんは学校や市教委が適切な対応をしなかったとして今年6月、市を相手に提訴した。その会見で、晴海さんはこう話した。

「息子は、いじめられたことよりも校長や教頭、市教委にされたことに傷つき、つらく苦しいと話しています」

 昌之くんは高校に進学した現在も、「先生や友達に嘘をつかれるのではないか心配。今も先生を信用できません」と打ち明ける。

 人間不信に陥った理由は訴状からも読み取れる。

(1)昌之くんは、1年生のときにサッカー部の同級生のLINEグループからはずされた。

(2)3学期には部の練習中に、昌之くんはほかの部員から襟首をつかまれ、首絞め状態でひきずられ、揺さぶられるなどの暴力を受けた。顧問は昌之くんと母親に再発防止を約束したが、対策はとられなかった。

(3)2年生の2学期、ほかの部員が昌之くんの自宅や自転車をスマホで無断撮影し、LINEに載せて中傷した。

(4)1年生から2年生にかけてLINEグループの中で、サッカー部員が昌之くんになりすました結果、からかいや誹謗中傷を受けた。

 昌之くんの被害はいじめだけではない。サッカー部の顧問から体罰を受けていたのだ。苦痛から、リストカットなどの自傷行為をするように。結局、卒業までに198日、学校を欠席せざるをえなかった。

 1度目の不登校は、'16年5月9日~12日。サッカー部員からのいじめが直接の原因だった。

 2度目は'16年9月14日から'17年4月まで、半年以上も続いた。このとき、学校の不適切な対応があった。昌行くんにいじめの調査をしていないのに、別の生徒が言った「昌之くんが先に蹴った」などの主張を信用して、そのまま市教委に報告したのだ。

 また、7月15日と9月5日に、顧問は昌之くんの頭部を殴打している。のちに、この行為は体罰と認定され、懲戒処分となった。

「職員室の前や中で、顧問からゲンコツをされたり、耳を引っ張られました。ほかの先生は見ていたのに何も言わない」(昌之くん)