その日、由美さんは寝坊をしてしまい、慌てて身支度を整え、お見合いするホテルに向かいました。お財布に千円札1枚と小銭が少しか入っていなかったのですが、お見合いでは男性がお支払いしてくださるので、お金はおろさずにホテルに駆け込みました。

 お見合いを終えてお会計の時に、「お支払いは?」と由美さんが尋ねると、依田さんは言いました。

「あ、じゃあ、1500円で」

 ドキリとしました。お財布を開けると、千円札に百円玉が2枚、あとは数枚の10円、5円、1円硬貨。1500円には足りなかったのです。そこで、由美さんが言いました。

「今日、ここまで来るのにお金をおろす時間がなかったので、カードでお支払いしていいですか?」

 すると、依田さんは、「これ僕の分です」と千円札と500円玉を手渡してきたのです。

 こんな時こそ、「いいですよ。ここは僕がご馳走します」と言える男であってほしいものです。

 若い人たちの間では、割り勘が当たり前の時代です。

 しかし仲人型の相談所では、お見合いのお茶代は男性が持つというのが、暗黙のルールです。何かのきっかけで出会い、心を通い合わせるようになった恋愛と、結婚相手を探すお見合いは大きく違います。

 これから関係をスタートさせる最初の出会いで、女性のお茶代が出せるか出せないかは、“思いやり”や“男気”を判断される材料になってしまいます。

 気持ちがまだ通い合っていない時に、男女平等だからと割り勘にされたら、理屈は通っていても、女性からは“ケチ”の烙印を押されます。

 このケースとは別に、お見合い後のお茶代をお支払いする時、「あの、お支払いは?」と女性が尋ねると、こんなことを言ってしまう男性たちがいます。

「ルールで男性が払うことになっているので、ここは大丈夫ですよ」

「お見合いのお茶代は男が払えと、仲人に言われているので僕が払います」

 どうせ払うのなら、女性が喜ぶセリフを言ったほうが良いですね。

「大丈夫ですよ。ここは僕にご馳走させてください。楽しい時間をありがとうございました」

 お見合いで、“どんな行動をとるか” “どんな会話をするか”で、ご縁がつながるかつながらないかが決まるのですよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『あいかつハウス』http://aikatsuhouse.grupo.jp/