「言葉にできる」をみんなのチカラに!

 そんな話を出版社の方にしたら、それを本にしましょうと出版されたのが『「言葉にできる」は武器になる。』(2016年・日本経済新聞出版社社)です。刊行後、この内容をテーマに、読者向けのトークイベントを何度かやらせていただきました。

 すると、参加してくださった小学校の国語の先生が「ぜひ、子どもたちにやらせたい」と言ってくれました。中学生のお子さんを持つ親御さんからも、「子どもに読ませたい」という言葉を、たくさんいただきました。

 そのとき「T字型思考法」をもっとやさしく説明できないかと考えてみました。小学校高学年くらいになると、学校で、あるいは親や友達に対して、自分の気持ちがうまく伝えられずに悶々とするものです。

 自分もそうでした。そこで、その頃の自分を主人公に、言葉の妖精「コトバード」という存在を考え出し、2人の対話の中でT字型思考法を解説する構成にたどり着きました。

 そうして書き上げたのが『「言葉にできる」は武器になる。』の実践編である『気持ちを言葉にできる魔法のノート』です。

『気持ちを言葉にできる魔法のノート』(日本経済新聞出版社)※記事の中の画像をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
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 T字を使って自分の中にある考えを言葉にしていく、その実践ができるように工夫しました。

 古代ギリシャの哲学者プラトンはこう言っています。

「賢者は、話すべきことがあるから口を開く。愚者は、話さずにはいられないから口を開く」

 言葉はどんなに飾っても、そこに自分の思いがなければ人には伝わりません。

 逆に言えば、自分の気持ちが入っているものは、ほかのどんな言葉より強いものになるのです。


梅田悟司(うめだ・さとし)◎コピーライター。1979年生まれ。大学院在学中にレコード会社を起業後、広告会社へ入社。マーケティングプランナーを経て、コピーライターに。広告制作の傍ら、新製品開発、アーティストへの楽曲提供など幅広く活動。CM総合研究所が選ぶコピーライターランキングトップ10に2014年以降、4年連続で選出されている他、国内外30以上の賞を受ける。著書に『「言葉にできる」は武器になる。』『企画者は3度たくらむ』『捨て猫に拾われた男』(日本経済新聞出版社)など。横浜市立大学客員研究員、多摩美術大学非常勤講師。