情報量とともにたたみかけてくるスピーディーな展開も本シリーズ、志駕さんの作品の特徴だが、これはラジオのディレクターとして番組制作に携わった経験が大きく影響しているという。

ラジオ業界でよく言われるのが、“人間の集中力は3分しかもたない”ということ。ですから3分の中に、必ずつかみからオチまで入れて、すぐに曲にいく。そうじゃないとリスナーは聴いてくれないのでは……という恐怖心があるんです。これはラジオマンの宿命でしょうね。それが作風にも出ているのではないかと。わたしの作品を1冊読んだら10冊くらいの知識を読者に得てほしいと思い、意識的にさまざまな情報をどんどん放り込んでいるんです。そうでなければ読者が飽きるのではないかという思いが常にあるんです。展開の早さについても同じです

志駕晃さん 撮影/北村史成
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“いまを書く”ことを信念に  

 シリーズ第2弾となる『囚われの殺人鬼』だが、実はシリーズ化の予定はまったくなかったという。

1作目が映画化されて、周囲からシリーズ化の話が出てきたときは、無理だよ!と正直思っていました。1作目ですべて完結していると思っていましたし、そのつもりで書き上げましたから」

 それでも周囲からの熱い期待(!?)や構成のアイデアなどを聞くうちに「これなら書けるかな」と気持ちが切り替わった。映画の公開中ということで詳細は割愛するが、第1作とのつながりはあるものの『囚われの殺人鬼』は単体としても十分に楽しめるサイバー・サスペンスとして仕上がっている。内容にもリアリティーがあり、現実社会で実際に話題となった事件や人物がストーリーに登場する。これは現実の出来事をモデルにしたもの? 

「いや、まったくの偶然だったんですよ。執筆中に事件が起こり、ニュースや周囲からの情報を聞いて私自身も驚きました。それと同時に、“いま”が書けているな、という思いもありましたね」