こうして、まったくお見合いをしないまま3か月が経ってしまいました。

 ご本人が婚活する気がなさそうなので、美江さんに再び事務所に来ていただき、そのことをお伝えしました。

 すると、美江さんは、言いました。

「豊は、アイドルグループMのファンなんです。今年の夏はツアーをやっていたみたで、会社の休みを調整して、関東近郊だけでなく、地方のコンサートにも行っていました。

 Mが好きな女性はいないですか? そういう子がいたら、きっとお見合いするだろうし、結婚してからも一緒にコンサートに行けて楽しいですよね」

 私は、思わず脱力してしまいました。

 母の「息子の将来が心配」「1日も早く結婚させたい」という気持ちはわかるのですが、アイドル好きを母が応援していては、ますます結婚する気持ちにならないでしょう。

 35のいい歳をした男が、相談所の活動費を母親に払ってもらっているところにも甘えがあります。

 当の息子は婚活にはお金を使わないけれど、アイドルを推すためにCDや公式グッズをたくさん買い、ファンクラブの会費やコンサートのチケット代を払い、地方に行った時の宿泊代も出す。年間に何百万円と愛しのアイドルのために出費をしています。

 ですが、そのアイドルと結婚ができるわけではないのです。

本当に女子力はアップしているのか?

 あるアイドルのファンの清美さん(28歳、仮名)が、こんなことを言っていました。

「Yくんにドハマリしてから、周りの男性に全く魅力を感じなくなったんです。7年ほど彼氏ができませんけど、寂しいとも思わなくて。『そんなんじゃ、女として終わっていくよ』と友達に言われるけど、そこらへんの女子よりも、自分磨きには力を入れていますよ。

 コンサートに行くためにかわいい洋服を選んで、美容院に行って、ダイエットして……。ある意味、女子力はアップしています」

 恋をすると、女性は女性ホルモンと言われている“エストロゲン”が分泌されます。これは別名“恋愛ホルモン”と言われていて、肌をツヤツヤにしたり表情をイキイキさせたりするそうです。

 また、ときめきホルモンと言われている“PEA”も分泌され、食欲が抑えられて満たされた気分になるので、無理にダイエットをしなくてもきれいな体形を維持できるのです。

 アイドルを見て心をときめかせていても、この2つのホルモンは出るそうなので、「女子力がアップしている」という清美さんの発言は、あながち嘘ではないかもしれません。

 ただ、手の届かないアイドルに恋い焦がれるより、リアルな恋愛をした方が女子力はアップするでしょうし、女性としての厚みがもっと出るのではないでしょうか? 

 ともに恋愛を育み、楽しい時間を共有したり、喜びを分かちあったり、時には喧嘩をしたり、悲しんだり、怒ったり、喜怒哀楽の感情を動かすことで、人生は豊かになっていくと思うのです。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『あいかつハウス』http://aikatsuhouse.grupo.jp/