阿部にとって勘九郎との大河ダブル主演は、感慨深いものがあるそうで、

阿部 僕が初めて大河ドラマに出演させていただいたのが、勘九郎さんのお父さん(十八代目中村勘三郎)が主演を務められた『元禄繚乱』(1999年放送)だったんです。その共演がきっかけで、勘三郎さんが僕の舞台を見に来てくださったりして。だから今回、勘九郎さんと一緒に大河ドラマで主演を務められるということに、不思議なご縁を感じています。

第1話の完成披露試写会で“いだてん”ポーズを披露した中村勘九郎と阿部サダヲ。「1話は登場人物が怒濤のように出てきます。“ものすごい1年が始まるぞ!”と感じていただけるかと」(中村)、「勘九郎さんたちが作り上げたチームワークをしっかり受け取って、後半も頑張りたい」(阿部)
第1話の完成披露試写会で“いだてん”ポーズを披露した中村勘九郎と阿部サダヲ。「1話は登場人物が怒濤のように出てきます。“ものすごい1年が始まるぞ!”と感じていただけるかと」(中村)、「勘九郎さんたちが作り上げたチームワークをしっかり受け取って、後半も頑張りたい」(阿部)
【写真】“いだてん”ポーズを披露した中村勘九郎と阿部サダヲ

走るシーンで油断していたら……

 撮影では普段、なかなか会えない2人。この機会に、お互いに聞いておきたいことは?

阿部 僕はまだがっつり撮影が始まっていないんですが、やっぱり大河の主役って大変ですか……(笑)?

勘九郎 周りの方々にすごく愛されて、支えられている人物なので、演じていてもすごく楽しいです。阿部さん演じる田畑さんは、新聞記者であり昔は水泳選手でもあった方ですが、水泳シーンはどうでしたか?

阿部 泳ぐシーンはあまりなかったんですが、泳ぐ撮影の当日に“日本泳法”を練習したんです(笑)。ずっと片側から顔を上げている泳ぎ方で、水泳の先生に“阿部くんが得意なのはこっち(に顔を上げているほう)だから、それでやろう”と言われて練習していて。でも、いざ撮影になったら、急きょ反対側を上げて泳ぐことになってしまいました(笑)。

勘九郎 そうだったんですね。僕も走るシーンがあるんですが、内心“撮影だからそんなにがっつりは走らないだろうな”と、油断していたんです。でも、それが大きな間違いで(笑)、今はドローンがあるのでどこまででも撮影できるんですね。でも、だからこそ熊本のミカン畑やストックホルムなど、なかなか行くことのできない場所で走ることができて、とても楽しかったです。


六代目 中村勘九郎◎なかむら・かんくろう。1981年10月31日生まれ。本名、波野雅行(なみの・まさゆき)。'86年1月、歌舞伎座『盛綱陣屋』の小三郎で初お目見得、'87年1月、『門出二人桃太郎』の兄の桃太郎で、二代目中村勘太郎を名乗り初舞台を踏む。'12年2月、新橋演舞場『土蜘』僧智籌実は土蜘の精、『春興鏡獅子』の小姓弥生後に獅子の精などで、六代目中村勘九郎を襲名。

阿部サダヲ◎あべ・さだを。1970年4月23日生まれ。'92年より「大人計画」に参加、舞台『冬の皮』でデビュー。映画、テレビ、舞台など幅広く活躍。'07年には『舞妓Haaaan!!!』で映画初主演、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。最近の出演作に映画『音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』など。バンド『グループ魂』のボーカル“破壊”としても活動している。