『ゲッツ!』が生まれた経緯

ダンディ坂野さん 撮影/北村史成
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実は舞台に上がるときに『ライドオン・ゲット!』と言っていたんですが、舞台袖で聞いていた芸人たちが、『ゲッツ!』って聞こえると言うんです。

 自分では『ゲット』と言っていたんですが、どうやら滑舌が悪かったらしくて。それで、逆に『ゲッツ!』と言うと、面白いんじゃないかとみんなから言われたんで、次から『ゲッツ!』で上がったら、お客さんの反応はなかったのですが、舞台袖の芸人たちが大爆笑だったんです。

 この世界、芸人にウケたら売れるみたいなうわさがあるんですよ。それで、『ゲッツ!』になったんです

 意外にも滑舌の悪さから生まれたという国民的ギャグ。ブレイクした当時の生活を振り返ると。

半年以上休みなしで、美容室や買い物にも満足に行けず、うれしいというよりはイライラが重なってきて、当時の現場マネージャーと言い争いになったりもしました。

 サンミュージックも僕の代でお笑い部門ができたので、スタッフとも二人三脚でやってきたんですよ。スケジュール表も何が書いてあるかさえわからないぐらいに全部埋まっていましたね

 それでも、ダンディさん自身が売れてよかったと思った印象的なことがあるという。それは憧れの人と共演できたことらしく。

トシちゃんポーズを再現するダンディ坂野さん 撮影/北村史成

やはり田原俊彦さんと共演できたことはうれしかったですね。

 以前から、田原さんに憧れて芸能界を目指した、と各所で言っていたら、とある番組の後に、楽屋に挨拶に行けることになったんです。

 当時、田原さんもジャニーズ事務所を辞めた後だったんで、“待ってたぜ! まぁ、お互い大変かもしれないけど頑張ろうぜ”って足組んで『トシちゃんポーズ』で声をかけてもらったんです。あの言葉は一生忘れませんね

 当時のことを振り返りながら笑顔で私たちに語りかける。その笑顔は優しさに満ちあふれていた。

 そんな彼も今年で52歳になりリアルにダンディさが身につく世代となった。はたして彼はこれからのお笑い界をどのように生き続けていくのか。

やはり若々しく元気にやっていきたいです。色あせずに。

 松平健さんのように歌って踊れたら最高です。それに役者にも挑戦してみたいです。まぁ、滑舌は悪いんですが(笑)。それでいて一番の理想は、高田純次さんです

 寝る間も惜しむほどの多忙な時期から、現在は適度に休むこともでき、公私ともに充実した日々を送っているという。休みの日には、子どもとゲームをやったり、趣味のゴルフをやったりと、今が一番幸せと微笑む。

それと年に数回やる集まりがあるんですが、これが楽しいんです。小島よしおとテツandトモさんで、徹底的にお互いを褒め合うんですよ。これが気持ちいい。

 僕にとって『おっぱっぴー』は歴史に残るギャグですよ

 自らの芸人人生を『他力本願でやってこれた』と謙遜し、誰も傷つけない唯一のスタイルで『平成』を走り抜けるダンディさん。そんな彼に新しい元号を予想してもらった。

幸福がいいですね

 みんなが幸せを「ゲッツ!」できる時代を願うこの人は、これからもマイペースに走り続けるだろう。