新たな顧客獲得への動きも始まっている。他業種とのドッキング店舗である。

コインランドリーやジムとのコラボも

「ローソンが全国展開している『ケア(介護)ローソン』は、薬局や介護相談窓口を併設したコンビニです。一般的なコンビニの商品のほかに介護グッズが充実していて、今後、日本社会が高齢化していくなかで、地域に欠かせない拠点になるでしょうね」(毛利さん)

 '09年の薬事法(現・薬機法)改正以来、コンビニでも条件を満たせば一部、医薬品を販売できるようになり、「ドラッグストア+コンビニ」という店舗も各地で目につくようになった。

「おもしろいところでは、コインランドリーと合体した店舗も。その名も“ファミマランドリー”。待ち時間はコンビニのイートインスペースで過ごして、スマホで洗濯の進み具合も確認できるので便利。

 またファミマには、コンビニに24時間のフィットネスジムを併設した店舗もあります。深夜や早朝に通いたいという人もいますし、サプリなどをコンビニで売れば相乗効果も期待できるはず」(梅澤さん)

 地域に根づいた存在である点を活かし、“子ども食堂”の取り組みも行われている。

 ファミリーマートは今年3月から、全国2000店舗で『ファミマ子ども食堂』をスタートさせる。イートインスペースがある店舗で、地域の子どもや保護者を対象に弁当やデザート、飲み物を提供するほか、バックヤードの見学やレジ打ちなどの職場体験もできるという。

 これに先立ち昨年、東京・埼玉・神奈川の5店舗で試験的に開催したときには好評を集め、「仲よく話せてよかった」「学年を超えた交流が楽しめた」などの感想が参加した子どもたちから出たそうだ。そこで、この取り組みを全国に拡大し、地域の活性化につなげることを目標に掲げている。

 全国津々浦々に5万5000店舗以上あり、そのほとんどが24時間オープンというコンビニに“社会インフラ”としての機能を期待する声も大きい。昨年夏の西日本豪雨の際にはコンビニが食料配給の拠点になっていたのも記憶に新しい。

 また最近は、コンビニのイートインスペースが地域の“井戸端スペース”になっているのもよく見かける。利用者として気になるのは、今年10月に予定されている消費増税の際、イートインが軽減税率の対象になるかどうかではないだろうか。8%か10%か。たとえ2%の増税であっても家計への負担は大きい。税率の行方次第で、未来のコンビニのあり方まで変わっていくかもしれない。


《識者PROFILE》
梅澤聡さん ◎ライター、フリー編集者。コンビニ業界や飲食業界をテーマに執筆・編集を続ける

毛利英昭さん ◎『月刊コンビニ』『月刊飲食店経営』編集長。コンサル業務を通じて食品産業との関わりも深い