義父と妻の戸惑い

 在校生の保護者に聞くと、

「仕事で帰宅が遅いため参加しませんでしたが、保護者会は事件が起きて1、2日後の夜に開かれています」

 別の保護者は、

「女児を持つ親の中には、事件後に学校を休ませた方もけっこうおられたと聞いています。事件のショックで休まなければいけなかったのか、何が原因なのかはわかりませんが……」

 と話した。

 さて、近藤容疑者はどのような教師だったのか。

「身長が180センチ、体重が90キロぐらいでデカい。ちょっとデブっているけれど、メガネをかけていて、楽しくて、優しい先生。怒ると怖いらしいけど」(小4の男子児童)

それほど太っていないころの近藤容疑者
それほど太っていないころの近藤容疑者
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 複数の児童・保護者に話を聞いたところ、おおむね評判はよかった。小学生のときにクラス担任だったという女子中学生は、

「身体を触るなどのセクハラをするような先生じゃなかったのに、あんなことをするなんて。でも、小学校の先生になるぐらいだからロリコンの気はあったかも」

 と話す。ただ、その当時は名字がちがったという。

「2~3年前に結婚して川原から姓が変わったんです。私たちは“カバハラ”とか“カバ”って呼んでいて、いじられキャラだった。面白くて優しい先生だから人気はありましたよ」(同・女子生徒)

 容疑者宅は近隣の小田原市郊外にある。かなり大きな邸宅だ。近所の主婦は言う。

「元地主の長女と結婚し、2年前に自宅を新築されてから婿入りしたみたい。4世代同居の大家族なんです。でも、お婿さんはほとんど見たことがないの。身体が大きくて、教師ということだけは知っていましたけれど。容疑者夫婦には2歳の息子さんがいて、子育てがたいへんな時期なのに何をやっているんだか」

 なぜ、容疑者は社会的立場を忘れて欲望に走ったのか。自宅を訪ねると、容疑者の義理の父親が孫をベビーカーに乗せて散歩に出てきた。

「もう何がなんだか、さっぱりわからないんですよ。面会にはまだ行っておりません。弁護士と向こうのご両親にお任せしておりますので。うちも被害者なんですよ。ですから取材はやめてください」

 などと強く言うばかり。

 容疑者の妻は、

「本人が帰ってこないので何もわからないんです。被害者を傷つけてしまったというのはわかりますし、事実ならば本当に申し訳ないと思っております。しかし、本人がやったことなので……。はぁ~、こういうときって、どうすればいいんですか……」

 と動揺を隠せずに声を震わせた。

 家族を困惑させ、勤務先校の児童らを裏切り、何より被害女児の心に大きな傷をつけた罪は重い。愛着を込めて「カバ」と呼ばれた容疑者は、取り返しのつかない「バカ」なことをした。


やまさき・のぶあき 1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、'94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物虐待などさまざまな分野で執筆している