保田容疑者の家がもともとあった土地。奥の一部分で被害者宅(左)がはみ出しているように見えるが……

「あの日、仕事で近くを通ったら規制線が張られていたんだよ。“刃物を持った男が逃走しています”って防災行政無線があってね。ずいぶん昔の土地の境界線のトラブルらしいけど、急に切りつけるなんて怖いねぇ」(タクシー運転手)

 神奈川県警小田原署は3月15日、殺人未遂の疑いで小田原市桑原の無職、保田明夫容疑者(69)を緊急逮捕した。

「その日の午後2時過ぎ、被害者宅で、63歳の女性の頸部などを刃物のようなもので切りつけ殺害しようとした」

 と捜査関係者。逃走した保田容疑者だったが、約1時間半後に小田原署に出頭した。

 事件現場付近にはかつて、保田容疑者が営む理髪店があった。古くからの住民が、時の流れをひも解く。

すぐにカーッとなるタイプ

「今回の事件の発端は約40年前にさかのぼるんです。7軒も焼ける火事がありましてね。出火元が保田容疑者宅でした。被害者のお宅はお隣で、焼けてしまいました。

 すぐに建て直しましたが、その際に、保田容疑者の土地に侵食して建ててしまったという。今は駐車場になっていますけど、土地がちょっと斜めになっているんです」

 被害者の親族は、

「確かに過去にあった火事に起因していますが、保田さんの家の合意を得ており、すでに解決している問題です」

 と認識を示したうえで、

「刑期を終えたときに同じことが繰り返されるのではないかと現在は非常にナーバスになっています」

 と再発を心配する。