そこで、私は雅治さんに言いました。

「お母さまの介護が必要になるかどうかは今の時点ではわからないし、それはそのときに考えればいいことではないですか? 雅治さんにもご両親がいらっしゃるし、老いる親のことを心配していたら結婚なんてできませんよ」

 離婚歴があり、子どもがいる美和さん(42歳、仮名)とのお見合いが成立したときには、こんなことを言っていました。

「4歳の子どもがいるけれど、父親とは今も定期的に会っているのかなぁ。養育費は、いくらもらっているんだろう。こういう場合、僕と再婚したら養育費は支払われなくなりますよね。そうなっても、子どもは父親と定期的に会うのかなぁ。そのあたりって、お見合いの前に相手の相談室に聞けますかね」

 このときには、こんなアドバイスをしました。

「離婚をしても、子どもにとって実の父親は永遠に父親ですよ。子どももひとりの意思ある人間なのだから、大人の都合で、『もう新しいお父さんができたから、あなたの父親に会ってはダメよ』とは言えないでしょう? 再婚女性と結婚するときには、彼女の過去もすべて受け入れて結婚を決断しないとうまくいきませんよ」

 こうしてお見合いの前には、毎回、重箱の隅をつつくような心配をするのです。

心配ご無用、1回の食事で交際終了

 美和さんとは、お見合いの後お付き合いに入ったのですが、その先々の心配は絶えませんでした。

「42歳だと、3か月仮交際をして、それから真剣交際に入って結婚したら間もなく43歳。ますます子どもを授かるのが難しくなりますよね」

 しかし、その心配も杞憂に過ぎず、お付き合いに入り1回の食事をしたら、美和さんから“交際終了”がきました。

 起こるかどうかわからない未来を考えて、悩んだり不安になったりするならば、まずは今、立っている足場を固めることです。ふたりの関係をしっかり築いていくことが大事なのです。何が起こるかわからないのが人生。起こったときに、それをどう解決していくか考えればよいのです。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/