できることを売りに働き口の確保を

 すでに働いている人は今後、どういう働き方をしていけばいいのだろうか。

人手不足の進行とともに、働き方も変わっていきます。企業が新しい働き手を確保するのが難しくなっていますから、人材を確保するため、これまでのような“会社という建物に、決まった時間に正社員が集まる”という働き方にはこだわらなくなるでしょう。

今までとちがう職種と、初めてのパソコンに挑戦中の67歳女性
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 これからは、子育てや介護中の人も働きやすいよう、在宅などオフィス以外の場所で働くテレワークや、郊外や地方都市にサテライトオフィスを作ってそこに通うといった働き方が普及していきます。正社員にこだわらず、自分のスキルを登録してニーズに合わせてそのつど働くという方法も、すでにIT業界や若い人たちに広がりつつあります。いろいろな人が働きやすい社会になるし、そうならなければ日本経済は行き詰まってしまいます」

 新しい働き方を採用した、働きやすい職場を積極的に探したいところだ。一方で、これまでの終身雇用制がなくなるという話もある。

「同じ会社で働き続けることは難しくなり、入社すれば一生、安心ではなくなります。仕事では常に“何ができるか”が問われるようになるでしょうね。これからは男女問わず、自分のキャリアを証明できるような働き方をしていきたいところです」

 とはいえ、特別な技術や資格が必要というわけではないようだ。

「今まで働いていなかったとしても、例えば、料理が上手であるとか、PTAや町内会で長年、頑張ったというキャリアでもいい」

 できることを売りに働き口を見つければよい、と河合さん。

「今後、社会は大きく変わり、年金の受給額も増えることはないでしょう。その前提で、どうしたら長くなっていく自分たちの寿命に対応できるのかを考えた未来予想図を作っていきたいですね」


《PROFILE》
河合雅司さん ◎作家・ジャーナリスト。1963年生まれ。中央大学卒業。産経新聞社では論説委員など歴任。現在、高知大学客員教授、厚労省、農水省の有識者会議委員なども務める。主な著書に『未来の年表』(講談社現代新書)など