そのため同センターでは、新たな職業に挑戦しようと決めたシニアのために、就職支援講習を実施している。ベビーシッターや警備スタッフなど業種別にコースがあり、いずれも業界団体側の協力を得て6日間から長いものでは30日間(!)、実践的なノウハウを学び身につけることができる。最後にはその団体に加盟する企業が複数参加する合同面接会が行われ、参加者の約8割の就職が決まるという。

「目標を見定めて参加する講習で、面接選考のうえで参加できます。同じ立場で何日間も一緒に学ぶので、参加者同士の仲間意識が高まり修了後も交流が続くこともあるようです」

 また、定年後の働き方や職種転換の体験談など、再就職に役立つセミナーも開かれており、参考にしたい。

採用されるために必要なことは?

 さらに65歳以上は『しごとチャレンジ65』という“シニア版インターンシップ”の制度も利用できる。

「選考前に、お互いに直接見て話せる場として、職場体験を実施しています」

 シニアコーナーの職員が65歳以上の人材活用のメリットを説明し、受け入れ企業を開拓。訪問して求める人材を聞き取り、利用者は相談員とともに体験先を決める。3時間程度の体験や見学は職員が同行してくれるので安心だ。その後、採用選考が行われる。

65歳以上の求職者も手厚い支援が受けられる『しごとチャレンジ65』
65歳以上の求職者も手厚い支援が受けられる『しごとチャレンジ65』
【写真】たくさんの求人広告が貼られた『東京しごとセンター』の入り口

 一昨年度は254名が登録し、140名が体験(見学)に参加した。一般的に65歳以上の就活においては、面接にも至らないケースも多い。それに比べると、かなりよい成果といえる。

 最後に、採用されやすいシニア人材について聞いた。

「これまでの職歴、肩書にこだわらない人ですね。いまは業務報告もパソコンですることが多い。できたらパソコンを怖がらず、操作できるといいと思います」

 また、年下の上司の話を聞けない人、頑固な人はNG。持病がある場合はオープンにして、自己管理できていると伝えれば採用のマイナス材料にはなりにくいという。逆に隠すと、あとあと問題になることも。

「職務経験が少ない専業主婦の方も大丈夫。調理や掃除の経験はあると思いますし、子育てをしていれば保育もできる。PTAや町内会への参加で培ったコミュニケーション力も強みになる。シニアだからといって特に時給や月給が低いわけではなく、一般のアルバイトやパートと基準は変わりません。ぜひ自信をもって就活してみてください」