冨士 どうなったんですか?

友綱 優勢だったのに逆転負けをしてしまった! 思わず、天を仰いでしまったんだけど、思いっきりテレビに抜かれていたの。ツイッターでもちょっと話題になっちゃった。

冨士久志本 アハハハハハ!

友綱 ほかの勝負審判も、僕の気持ちがわかるから、笑っているの。親方って、大変な仕事だよ、ホント! 

冨士 親方は若貴時代から朝青龍、白鵬、稀勢の里まで、いろいろな力士と相撲を取ってきたと思うけど、やっぱり今と昔とでは違いますか?

友綱 若貴時代は、幕内平均体重が140キロ台で、今は160キロ台。当然、対策や傾向も違うから、どちらの時代のほうが面白かった、強かったとは一概に言えないと思っています。それぞれの時代によさがある。そのうえで、新しい時代に向かおうとしている。

冨士 いいことおっしゃる。

久志本 しかも、今は誰が優勝するかわからない面白さもあります。 

友綱 そのとおり! 誰が令和の時代を築くのか、ワクワクするよね。

冨士 平成になって、ハワイ出身だけじゃなく、モンゴル、中国、ブラジル、ジョージア……本当にいろんな国から角界を目指すようになってるんでしょう。令和になったら、もっとグローバルになるかもしれないわね。もう国籍なんていってられないわね。

友綱 そういっていただけるとうれしいですね。

冨士 シンプルなルールの中で、真っ向からぶつかり合って勝敗を決める。要するに、強い男がカッコいいってことよ。それが相撲のいちばんの魅力なんだから。幸い、眞子ちゃんのような可愛いスー女もいてくれる。相撲の未来は明るいわね! 

久志本 新弟子検査って、中学卒業からなんですよね。私と同じ年の子が、新弟子として土俵に上がっていると思うと、いちファンとしてもっと相撲の魅力を伝えられるように頑張ろうって思うんです。

友綱 冨士さんから眞子ちゃんに伝承だな。継承も立派な相撲の文化ですから。期待しているよ! 

久志本 そのときは改めて伝達式をお願いします! 

冨士 もちろん! 

 老いも若きも大相撲、敢闘賞よ!


ふじ・まなみ 静岡県生まれ。県立三島北高校卒。1956年NHKテレビドラマ『この瞳』で主演デビュー。1957年にはNHKの専属第1号に。俳優座付属養成所卒。俳人、小説家としても知られ、句集をはじめ著書多数。11年間「俳壇賞」選考委員。最新刊は『吉行和子・冨士眞奈美 おんなふたり 奥の細道 迷い道』。出演作『ばあばは、だいじょうぶ』が5月10日より全国イオンシネマほかで公開される。

くしもと・まこ 2003年8月28日、三重県生まれ。小学校1年のときにスカウトされ、以来女優、歌手として活躍。2016年公開の映画『クハナ』で主演を務める。趣味はスポーツ観戦で、特に相撲においては「芸能界最高スー女」の呼び声も高い。特技は「十両以上の力士は全員しこ名が言える」こととバイオリン。ツイッターは @kushimako828。

友綱親方 本名:太田勝。元関脇・旭天鵬。1974年、モンゴル・ナライハ市(現ウランバートル市ナライハ区)生まれ。1992年2月、のちの小結旭鷲山らと来日し、史上初のモンゴル出身力士となる。'98年1月に新入幕。'05年にはモンゴル出身力士として初めて日本に帰化。同年七月場所で昭和以降最年長の37歳8か月で優勝。'15年七月場所限りで引退。'17年に江戸時代から続く年寄「友綱」を継承し、モンゴル出身力士として初の師匠(部屋持ち親方)に。

取材・文/我妻アヅ子 撮影/伊藤和幸 撮影協力/友綱部屋