ひばりさんと和也さん。豪華な伊勢エビ、赤飯なども並ぶ
ひばりさんと和也さん。豪華な伊勢エビ、赤飯なども並ぶ
【貴重写真】病室のベッドのひばりさん、昭和53年ひばりさんと母・喜美枝さんと

虫の知らせだったんでしょうか

 一方、尾松さんと河野さんはテレビ局にいた。

 午後2時からテレビ朝日で『お誕生日おめでとう!!ガンバレ!美空ひばり』という特番が生放送され、後援会のメンバー約500人も観覧。ゲストの近藤真彦、岸本加世子らとともに、ひばりさんを励まそうとお祝いのメッセージを送った。

尾松「1時間の生放送ですよ。小粒なスターばかりになった今の時代では考えられない」

河野「あんな番組ができちゃうんだもんねぇ」

尾松「あとで、ひばりさんに食べてもらおうということで、スタジオでケーキを作ったり」

網中「もちろん、ひばりさんも病室のベッドでテレビを見ていて、知っている顔を見つけては、誰それが出てるー、って喜んでいました。すごく勇気づけられたと思います」

 司会者はひばりさんに“もし元気にテレビを見ていたら、番組あてにお電話をください”と何度も呼びかけた。

網中「それで(付き人の)範子さんが番号を大きくメモ書きして、ひばりさんに渡したけど、とうとう最後まで受話器は持たなかった。かける気はなかったみたい。

 どうして? こんなに元気なのに、ってのは私の疑問だったのね。でも、虫の知らせだったんでしょうか。それから1か月もたたないうちに、急にお別れが来てしまいました……

 最近、3人にとってうれしい出来事があった。長年にわたってひばりさんを支え、その最期を看取り、現在もひばり邸に住み続ける付き人・関口範子さんが、初めての著書『美空ひばり恋し お嬢さんと私』を出版したのだ。

『美空ひばり恋しお嬢さんと私』著/関口範子発行/主婦と生活社 ※記事の中の画像をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

網中「もともと範子さんも後援会で、私たちの先輩ですから。まさに“生き字引”的な存在。何でもよく覚えているのにびっくりします」

尾松「範子さんはひばりさんのドレスの色から曲目から、ぜんぶメモに記録していました。優秀な秘書であり、本当にファンだった」

河野「30年は長いですよね。そんなにひとりのことをずっと思っていられるのかしらと思ったけど、範子さんも、私たちも、みんなが思っているのよね。ひばりさんの満面の笑顔、あの声、歌い方……。大好きです!」

《INFORMATION》
『第82回 美空ひばり生誕祭』5月29日(水)12:00開場、13:00開演 会場/浅草公会堂 入場料/当日3500円(税込み)