──ついに10歳同士がYouTubeで論争する時代になってしまったんですね……。今、どんどん若年層のYouTuberが増えていることに関してはいかがお考えでしょうか。

そもそもYouTuberのシステムがいつまで続くかわからないというのがありますよね。ヒカキンさんほどブレイクできればいいのかもしれないですけど、聞いた話によるとだいたい300万回の再生回数で30万円ほどの収益だと聞きます。

 でも、そのレート(再生回数あたりの収益率)もいつ変わるかわからないですし、収益化のルールもどんどん厳しくなっているとか。

 結局、そういったYouTubeのシステムやルールを作る側は、勉強を極めて一流大学を出た人たちが多いですよね。そういった支配者層の、ちょっとしたさじ加減ですぐ生活が成り立たなくなる職業は危険なんじゃないかと思ってしまいます

──確かに彼らは宿題をやってきた層かもしれませんね。そんななか、YouTubeの世界で炎上してもたくましく動画をアップし続けるゆたぼんはすごいと思うのですが。

「突然ですが、占星術の話でいうと、'19年3月6日に『革命』を司る天王星が、『価値』を意味する牡牛座に移動するという大きな出来事があったそうです。

“今までの価値観に変化が起こって古い考え方では通用しないという時代に突入する”とありました。ゆたぼんは『革命家』を名乗っていますし、もしかしたらその流れに乗って世に出てきて、“みんな当たり前に学校に行く”という価値観を壊しにきた存在なのかもしれません。

 でも、不登校の子たちに向けて“死にたくなるくらいなら学校にいかなくていい”と励ましている彼ですが、学校に行かずネットで何万もの人から叩かれること自体、私なら十分死にたくなってしまうと思います。コメントも大人が書いたりもしていますし、内容もより辛辣なので心配です。

 もともとメンタルが強いほうなのかもしれませんが、学校に行ってネットのことを忘れるのが精神的にもいちばんいいかな、とは思いますね。

 あと、当たり前のように学校に行ける日本の環境について感謝したほうがいいかもしれないと老婆心ながら感じました。未来の可能性は無限大なのでがんばってください


辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。
東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。