オバさんに対するネガティブなイメージは、「女は若く美しくてナンボ」とする考えを反映したもの。女性に向けられる過剰な「若さ信仰」とプレッシャーが、その根底にある。

「これは男性の物差しで作られた考え。逆に男性は、若いより年齢を重ねて知識があって、社会的地位や経済力を持ち合わせている人が評価される。女性と男性が非対称にできている。だから、私たち女性と関係ないところで勝手に作られた価値観に乗っかる必要はありません。もちろん若々しくあることは素晴らしいけど、若いほうが価値があるというのとはまた違います」

 とはいえ、やっぱり自分より若く見える人がいるとモヤッとするし、若く見えると言われたほうがうれしい気持ちも正直ある……。

「そこを否定するつもりはありません。でも、余興くらいのレベルにとどめておく。十分大人になって他者と横並びじゃなくてもそれほど不安にならない年齢になったのですから、そこをうまく利用してほしい」

 若さに憧れや執着を感じるのは、自分の中に男性的な価値観や物差しが内在していることの証。そこに気づいてほしい、とジェーンさんは語る。

自分の価値は自分で確立し、自分でつけることができる新しいタイプの中年、“ネオ中年”が増えてほしい。実際、“若くはないが死ぬほど楽しい!”というのがオバさんになった私の実感です。もう誰かにおもねる必要もありません。自分が楽しい状態、居心地のいい状態をどんどん作って、そこに遠慮しない……というのもネオ中年の生き方。そうあってほしい、と思います」

 ネオ中年が好きなように人生を楽しめれば“人生100年時代”の新しい生き方を切り開く、よき先駆者となるかもしれない。


じぇーん・すー/1973年東京都生まれ。コラムニスト。TBSラジオ『生活は踊る』でパーソナリティーも務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞受賞。『私がオバさんになったよ』ほか著書多数