初めての刀剣鑑賞
そして貴方に触れる

 さて、あらためて展示場を見て回ると、『国行』のほかにも、平安時代末期から幕末・明治時代まで約40振が並ぶ。もちろん国宝、重要文化財に指定されているものなど名刀ばかりだ。照明が落とされて少し薄暗い中で、ライトアップされた日本刀は幻想的、神秘的な美しさ。

 実は、この演出にも理由がある。日本刀のこだわりの部分である「刃文(はもん)」「地鉄(じがね)」がよく見えるようになっているのだ。「刃文」とは、刃の白っぽい部分に浮かび上がる模様で、これは刀工が意図してつけているもので、個性が強く出る部分だそう。まっすぐなもの、細かく波を打ったものなど、それぞれに違った模様が浮かび上がっている。

「地鉄」は、刃の黒っぽい部分で、鉄を何万層にも折り返して作る、鍛錬の仕方によって出るもの。木の年輪のような杢目(もくめ)模様、板のような板目模様が見て取れる。刃文とはまた違う美しさで、知っていると“通”気分になれる。

そして“姿”。姿とは全体のバランスや反り格好、厚みや身幅。これを見るとだいたいどの時代の日本刀かがわかります。初めて日本刀をご覧になる方は、ぜひ“姿” “刃文” “地鉄”の3つを見てください」(荒川さん)

気高く美しい鋒(きっさき)と刃文
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珍しい「三鈷柄剣」の浮き彫り
「国行」の銘刻に思いを馳せる

 じっくりと鑑賞したあと、今回は特別に日本刀を持たせてもらった。入念に手を洗い、飛散した唾で錆(さ)びてしまう可能性があるためマスクを着用。緊張感に震える手を抑えつつ、まず一礼。「ふくさ」を左手に、その上に刀をのせるとずっしり。金属バットと同じ1キロくらいというが、名だたる武将たちは、さらに馬に乗って振り回していたのか……と考えると、その勇ましさがよりリアルに感じられた。

 そして、自分で光を当てて角度を探し、ようやく浮かび上がった「刃文」をとらえたときは、その美しさに見惚れると同時に、何とも言えない達成感が。

刀剣博物館では「マナー講座」も開催(16歳以上、参加費1000円)。日本刀の持ち方、刃文の見方などが学べる

 事前にHP上からの申し込みが必要だが、刀剣博物館では毎月(8月と12月を除く)第2土曜日に行われているマナー講座で、実際の日本刀を手に取り鑑賞することができる。また博物館1階でも、重さを体感できるコーナーが常設されているので、気軽に日本刀体験を楽しみたい。

 その美しさを1度見て、手にすれば刀剣女子ならずとも、日本刀の魅力に引き込まれること間違いなし。“刀剣ラブ”してみる?

刀剣女子デビュー
見るべき3つのポイント

 
ポイント1:姿

 全体の大きさやバランス、身幅、厚み、反り方でどの時代のものかわかる。所持していたのはどんな人? なんて想像するのも楽しい!

ポイント 2:刃文

 刃の白い部分にふわっと浮かび上がる模様で、流派や職人によって形はさまざま。自分のお気に入りの模様を見つけてみるのもいいかも♪

ポイント3:地鉄

 刃の黒い部分に光を反射させると見える模様。玉鋼を何度も折り返すことによってつくられた模様は、刀工のこだわりが感じられる。

■刀剣博物館 
東京都墨田区横網1-12-19
開館時間9:30~17:00(入館は16:30)まで
休館日 毎週月曜日(祝日の場合開館、翌火曜日休館)
通常展入館料 大人1000円 学生500円 中学生以下は無料
その他詳細、展示情報は https://www.touken.or.jp/museum/

(取材・文/佐々木清夏 撮影/坂本利幸)