柿澤勇人 撮影/齋藤周造

 三谷幸喜、作・演出の新作舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』が9月1日から東京・世田谷パブリックシアターで上演される。大のシャーロック・ホームズ好きを公言している三谷氏が満を持して手がける今作で主演に抜擢されたのは、数多くのミュージカルで活躍する柿澤勇人さん。名探偵になる前の若き日のシャーロックを演じる。

決め手は“孤独に寂しそうに見えたから”

役者の大半はそう思っているんじゃないかと思いますけど、いつか三谷作品に出演したいという気持ちは、もちろんありました。でも、三谷さんは基本的に役者にあて書きをして脚本を書かれるというのを聞いていましたし、コイツでコレをやらせてみようって思わない限り、簡単にはキャスティングされないこともわかっていたので、主演することが決まったときは、本当に奇跡のような巡りあわせだなと思いました」

 昨年、ミュージカル『メリー・ポピンズ』に出演していた柿澤さんを見た三谷氏が、「僕のシャーロック・ホームズがここにいる」と直感で舞台化を決めたということについては、かなり驚いたという。

「スタッフから最初にその話を聞いたときはすごくびっくりしましたよ。バートはWキャストでしたし“大丈夫かな、ホントに俺なのかな?”って(笑)。

 三谷さんは『シャーロック・ホームズ』の舞台でもある19世紀後半のロンドンがすごく好きだそうで、同じく当時のロンドンで生まれた『メリー・ポピンズ』も好きなんだとおっしゃって、東京と大阪にも見に来てくださって。その日によってキャストの組み合わせも変わるわけですから、“何パターンも見たうえで、なぜ僕をシャーロックにしたんですか?”と聞いたら、“君だけ孤独に寂しそうに見えたから、それがシャーロックと重なった”と言ってくださいました。僕が演じたバートは悲しさを前面に出すような役ではないので、何を見てそう思われたんだろうと思いましたけど、そこはあまり聞きすぎると怖いので、セリフがちゃんと入って、少し余裕が出てきたらいろいろ話してみようかなと思います」