親しい間柄であっても、政治に関する話題はタブーになりがち。また、国会で激しいヤジが飛び交う様子に抵抗を覚える人も少なくない。そうした政治につきまとうイメージを変えていくことも重要だと話す。

「たたかなければいけないときはたたきますが、不必要にたたき合う姿は、国民の気持ちが冷めてしまうだけで支持は広がらない。公開討論やテレビ討論などでも、険悪ムード一辺倒で議論を交わすのではなく、楽しげな雰囲気であっても有意義な討論はできる。仲良くする必要はないけれど、政治に興味や関心を持ってもらうために、与野党がともにできることはあるはずです

世界165位という「女性活躍」できない現実

 女性活躍が叫ばれる一方、政界を見渡せば、国会で女性議員が占める比率は世界193か国中、日本は165位。参院22.6%、衆院10.1%にとどまっており依然、マイノリティーだ。そんな“おっさん政治”の国会で3期務めた経験から、山尾氏は「女性ならではの難しさはある」と苦笑する。

「議員になったばかりのころ、できるだけ懇親会や研修会に顔を出していました。それこそコンパニオンさんが同席するような宴席に出席して、お酒を注いで回るというようなことをしたんですね。その場の空気に合わせるように、彼女たちと一緒にお酌をしていたところ、私が議員であるとわかっていながら、冗談で、“そこのコンパニオン、注いでくれ”と声をかけられました。

 職業としてのコンパニオンにも、政治家である私にも、度を越す無礼だと思いましたね。以後、その宴席にはいきませんし、お酌を票につなげるような振る舞いもやめました。

 政治の世界は圧倒的に古い男性社会です。でもそれを変えたいなら、有権者とどう向き合うか、永田町でどうふるまうか、女性政治家として哲学を持つ必要があると思います。新人や一期目では特に難しいことだけれど、それでも媚(こ)びをうらず、自然に、毅然(きぜん)としていることが大事です

 こうしたプレッシャーが女性を政治の舞台から遠ざける。

「新たに制度を作ることでしか変えられない文化もあります。参院選の前に、候補者の男女比を均等に近づける“日本版パリテ法”が施行されました。多様な声を政治に反映させるには、女性はもちろん、LGBTや若い世代が政治の舞台に参入しやすい環境整備が求められます。

 まずは女性にスポットを当て、候補者の半数が女性という目標を各党で実現していくことが大事。実際に参院選では、立憲民主党は候補者の約半数を女性が占め、かつ一定の当選人数を確保できました。理念法とはいえ、できた意味は大きい

 政治文化の新陳代謝を促すには、2世、3世の世襲議員が多くを占める状況も見直す必要があるだろう。

「国会議員の任期制を検討すべきではないでしょうか。あらかじめ期数が決まっていれば、議席にしがみついたり、世襲を続けたりする意味はなくなる。

 当選イコール政治に骨を埋めるという風潮が定着しているから、支援者の期待に応えるため“次も当選しなければいけない”“選挙区の地盤を守らなければいけない”などと、自らの志以上に周囲を気にし始めてしまう。志の高かった議員すら選挙至上主義、議席至上主義に陥る要因のひとつになっていますし、そこから国民の政治不信へつながっていく。党の垣根を越えて考えていきたい問題です