“見られる意識”をどう持たせるか

 そこで気になるのが、ステージママとは言わないまでも、親としてどれくらいの積極性を持つことが望ましいのかということ。

落合すみ枝さん

「頑張り屋のお母さん、お父さんのほうがいいと思います。というのも、私たちを含めた現場の人間と、きちんと意思疎通をとってくれると、スケジュール管理などスムーズに話が進みます。でも、度が過ぎないように! 立ち回りすぎるのは逆効果です」

 ちなみに、大人になってもタレント活動や役者を続けたい場合は?

「私たちの事務所は、幼稚園~高校生までのタレントを専門としているため、18歳以上になった場合は本人の意思を尊重して、気持ちよく仕事を続けられるよう移籍を含めて、サポートしています。何かあれば、その都度、相談してくださいと伝えています」

 ただし、「事務所、劇団によっては契約期間を結ぶため、即座に移籍できないケースもある。親御さんはそういった点にも留意して、お子さんと二人三脚で歩んでほしい」と付言する。

 数々の説得力のあるアドバイス。さすが16年にわたって子役を見守ってきた第一線のプロ。「あくまで主観によるアドバイスですから、ほかの事務所は違うかもしれませんよ」と謙遜しつつも、次のような言葉を続ける。

「レッスン中に“おしっこ~”なんて言っている姿を見ると、オーディションでも同じことをするだろうなって(苦笑)。だからといって、“ダメでしょ!”と頭ごなしに怒るのはではなく、子どもたちに対して、人に見られているという基本的なシチュエーションをいかに教えてあげることができるかがポイント」

 たしかに、寺田心くんの、人から見られていることを前提としたようなプロ意識たるやすさまじい! 「他事務所とはいえ、心くんの演技や立ち居振る舞いはすごい」と落合さんも感心するように、その道のプロすらうならせる子役たちは、見られているからこそ、求められているものを把握する能力に長けているのだ。

 では、人から見られているという意識を持たせるにはどうすればいいのか?

「見られているときにやってはいけないようなある程度のルールを決めて、子どもらしさ、自分らしさを発揮できる態勢を整えてあげることでしょうか。単に注意したり怒ったりすると、しつけにはなるけど、厳しい子役の世界で個性を発揮するための力を育むことにはつながらないんですね。もちろん、子ども自身がそれに気がつけるかどうかも重要です」

 いわば、子どもから子役になるとき、いかにギアチェンジができるかといった意識が必要というわけ。