輸出品への消費税の課税は国際ルールで禁じられているが、間接税であれば消費税分の還付が認められるという。

輸出還付金の多い企業トップ5 ※いずれも2018年4月〜2019年3月までを対象。数字は各社の最新決算書をもとに湖東京至税理士が推計

さらに、輸出品には“ゼロ税率”を適用する。例えば、ある輸出企業の売上高が国内500億円、輸出500億円だったとします。国内分には8%の税率が適用されるから500億円×8%=40億円が税金となりますが、輸出分は0%をかけるので0円。

 一方、仕入れ額が年間800億円とすれば、税額64億円。売上高にかかる税額40億円から仕入れ高にかかる税額64億円を引いて、マイナス24億円となります。これが輸出企業に還付されるのです」

 この制度を利用して、添付の表にあるとおり、名だたる企業が巨額の還付金を受けている。

「売上高から仕入れ高を引いた粗利益に課税される消費税は、赤字企業であっても納税義務が生じます。苦しいフトコロから消費税を納める中小零細起業がある一方、輸出大企業への還付金は国内事業者が納めた消費税額の1/4にもなります。しかも下請けに対し、納品の際に消費税分を安くしろと買い叩く大企業も少なくないのです」

 今年5月に日本商工会議所が実施した調査では、税率10%への引き上げの一部または全部を価格に転嫁できないと答えた中小企業の割合は、32・1%にのぼっている。

「能力に応じて納めるというのが税制の原則。それに反する消費税は不公平税なのです」

増税しても社会保障費が削られるワケ

 施政方針演説で「全世代型社会保障制度を築き上げるために、消費税率の引き上げによる安定的な財源がどうしても必要」と、増税の必要性を力説した安倍首相。5%から8%に引き上げた2014年も同様に、増税は社会保障のためとしていた。

「消費税が上がって社会保障が充実するどころか、反対に削減され続けています」

 そう指摘するのは鹿児島大学の伊藤周平教授だ。

「8%増税の使い道をみていくと、国民年金の国庫負担財源に回したのが3・2兆円、負担のつけ回しの軽減、つまり借金の穴埋めに使ったのが3・4兆円。社会保障の充実に回されたのは16%だけでした。充実分は大半が子育て支援に回り、医療や介護分野は逆に削られています」

 とりわけ介護分野で削減・給付の抑制が目立つ。

「要支援1・2の訪問・通所介護サービスを介護保険の給付からはずし、特別養護老人ホームの入所基準を要介護3以上に厳格化。要介護1・2の生活援助を介護保険からはずすことも検討され始めています。介護保険の利用者負担もすべての利用者について1割から2割に引き上げることが計画されています」