嫌みな役を極めるのもいいかなと

 一方で、その『弟』の制作過程で、石原プロモーションの底力に感動したとも。

「デビュー作の連続ドラマ『西部警察2003』(テレビ朝日系)で撮影中に見物していた方たちが負傷する事故が起こり、お蔵入りになったんです(翌年、単発ドラマとして放送)。事故後、会社が制作に携わっていたこともあり、社内は静まり返っていたんです。

 でも、すぐにドラマ『弟』の制作に気持ちを切り替えて、すごい熱量で作り上げていったんです。そのときに俳優の先輩、スタッフ含めた石原プロモーションのパワーを目の当たりにしましたね

 渡哲也や舘ひろし、神田正輝などそうそうたる事務所の先輩たちと共演することで、演技や生きざまを学んでいったという徳重。そして『下町ロケット』で、これまでのイメージを覆す演技が大反響を。

「僕だと気づいていない人もけっこういて、エンドロールで気づいた人もいたほど(笑)。ヒール役を演じるのは面白そうだなと思う反面、どんなふうに見られるんだろう……という怖さもありました。でも20、30代は同じような役柄が続いていたので、いろんな演技ができないと役者としてはダメなんじゃないかと悩んでいた時期でもあったんです。『下町ロケット』以降は、仕事内容がガラッと変わりましたね

 9月11日放送のスペシャル番組『MGCを作った3人の男たち』では、日本長距離界をリードした瀬古利彦役を演じる。

カメラが回っていないところでは、陸上競技解説者としても知られる尾縣貢役の嶋大輔やスタッフと談笑するなど、終始アットホームな雰囲気だった 撮影/齋藤周造
【写真】スタイル抜群の徳重だからこそのメイクの苦労がわかる1枚

「半分現代劇、半分時代劇みたいな作品で音を立てて物事が動いている感じがいい意味でピリピリしていて、演じがいがありますね。東京オリンピックの代表選考会であるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)がマラソン界を大きく変えたということを、瀬古さんなどを通じて多くの方に知ってもらえたらうれしいです」

 来年はNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で明智光秀に仕える家臣・藤田伝吾を演じるなど話題作が続く。そんな彼に挑みたい役柄を聞いてみると―。

「嫌みな役は最近よくやらせてもらっているけど、どこかよい部分があったりするので、ここまできたら完全な悪者を演じてみたいですね。『下町ロケット』の素晴らしい演出のおかげで、そういうお話が続いているのですが、今は嫌みな役を極めるのもいいかなと思っているところです」


『MGCを作った3人の男たち』(TBS系、9月11日夜8時〜)