「こんまり」「断捨離」「ミニマリスト」……日本人は「片づけ」が大好きな人種なのだろうか? 出版業界では定期的に“片づけカリスマ”が生まれ、スマッシュヒットをとばしているが、ここ最近で話題なのが著書累計がわずか2年で22万部にも及んでいるという井田典子さんだ。

 神奈川在住、3人の子どもを持つ59歳の主婦。NHK総合テレビ『あさイチ』に“スーパー主婦”として登場後、初著書『「引き出し1つ」から始まる! 人生を救う 片づけ』がいきなり10万部を超え、全国の講演会ではひっぱりだこに。「片づけ依頼」がひきもきらず、数か月先までのキャンセル待ちが続く

 9月には最新刊『迷いも悩みも手放す!人生を肯定できる片づけ』を出版。井田さんのもとには同世代の主婦たちからの悲痛ともいえる「ある共通の悩み」が多く寄せられるという。井田さんに詳しく話を聞いてみると……。

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夫のモノを邪険に扱う本当の心理

井田典子さん

「夫の定年が近いんです……」。セミナー後、冴(さ)えない表情で話しかけてきた女性がいました。ご主人はまじめで家族思いの方だそうですが、整理収納がとにかく苦手。夫の脱ぎ捨てたものや趣味のグッズなどの片づけをすべて奥さまがやってきたそう。奥さまもパート勤めで忙しいとのことでしたが、「夫にいちいち言うより自分で片づけたほうが早い」と、あきらめモードの毎日。

 しかし、ご主人が65歳で定年となり、毎日家にいると、どれだけ部屋を汚されるか。自分の家事負担が増えそうだし、うんざり! と、こぼす主婦が多いのです。

「人のモノはガラクタに見える」。これは夫婦間における片づけの“定説”です。自分のモノは、不用品であっても捨てられないのに、相手のモノには「なんで、こんなモノをためこむのか」と疑問がわいてしまう。

 でも、本当は相手のモノにイラついているのではなく、相手そのものにイラついている場合が多いのです。例えば相手が脱ぎ捨てたパジャマがソファにちらばっていても、新婚時代なら文句も言わず洗濯機に入れていたはずの妻が、定年後は冷たく一瞥(いちべつ)。積年の思いがそこにあふれているように思います。