ケース4:裁判員を「辞退」/木村政義さん(仮名)

【東京都・37歳・会社役員 家族=父と母と弟】

◆最初はどう思った?
 最高裁からの登録通知は2017年の年末。実際に呼出状が届いたのはその1か月後くらいでした。特に驚きはなかったですが、「来たか!」とは思いました(笑)。

◆家族や職場に相談した?
 一緒に住んでいる父と母には「通知が来た」とは伝えましたが、特に相談はしませんでした。会社にも「こういう通知が来ました」という報告だけはしましたが、相談もしませんでしたし、「行ってこい」とも「行くな」とも言われなかったですね。

◆なぜ辞退したの?
 本当は、いい機会だったので参加したかったですね。学生時代に法律の勉強をしていたので、裁判裁判そのものに以前から興味があったので。ただ、呼出状の封筒に入っていた公判のスケジュールを見て即、「無理」と。1週間全部ぶっ通しで裁判所に行かないといけない予定で、さすがにそんなに休めません。

◆個別に調整はムリ?
 それでもせっかく選ばれたのだから、「何とか参加できないか」と思って、裁判所の問い合わせセンターに質問の電話をしてみたんですよ。日程の変更や公判途中で休みの日を取れるのかとか、公判途中から参加できたりするのか、とか聞いてみました。結局、どれもダメだということで。それで辞退しました。

◆参加しやすくするには?
 参加の意思がある人でも、連続して長く仕事を休むというのは難しい。例えば、拘束される日が5日間連続とかではなくて、月・火・水……のようになっていれば、私も参加できたと思いますし、そういう人は多いと思います。

ケース5:裁判員を「辞退」/平井亜衣さん(仮名)

【東京都・44歳・専業主婦 家族=夫】

◆書類はわかりやすかった?
 身に覚えがないので最初は「誰かに訴えられた!?」って。それに、こういうニセの文書を送りつけてくる詐欺もあるじゃないですか? それかなとも思いました。内容を理解した瞬間に「断ろう!」と(笑)。引き受けようとは考えませんでした。

◆なぜ辞退したの?
 家族の看病。義母が病気で、毎日家に行ったり、病院に連れていったり大変で。それに、裁判所に行くまでどんな事件を担当するかわからないので、私が死刑を言い渡す可能性もあったわけで。私みたいな普通の人が、人の命を判断するのは……。

◆辞退はどう連絡するの?
 主人なんて、「それなら俺が代わりに裁判員になれないかな……?」って(笑)。でも無理なものは無理だったので。その後、呼出状が来たときに返送用書類に、辞退したい意思と理由をもう目いっぱい書き込みました(笑)。コレでダメなら、裁判所に行って、辞退理由を説明する気でした。

◆辞退以降、気持ちに変化は?
 ニュース番組やワイドショーの見方が変わった部分はあるかも。それまでは「自分に関係ない」って感じだったんですけど、通知が来てからは「こんな事件じゃなければいいな」とか「私だったら、こんな事件は裁判員できないな」とか、そう考えたり。

◆どうしたら参加しやすい?
 通知書類が仰々しくないほうがいい。内容はわかりやすいけれど、「重っ!!」って感じてしまったので(苦笑)。運転免許更新のお知らせハガキくらいサラッとしているほうが、「説明は聞きに行ってみようか」と思えるかも。