「殺される」「自殺したい」「消えたい」

指導は誤りと認めない学校、調査委の設置を拒む教委に父・栄治さんの不信は募る
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 10月18日、父親が学校を訪問したとき、教頭は「今ある情報では、いじめとは言えない」と言い、教務主任や担任と確認が不十分だったことを謝罪したが、指導法の問題点には触れなかった。

 担任からの指導後、優奈さんは学校へ行けなくなった。日記には「顔合わせたくない」「殺される」「自殺したい」「消えたい」などの言葉が並ぶ。'19年4月、心療内科で「適応障害」「うつ」との診断を受けている。

「逃げても、逃げても先生が追いかけてくる、椅子に座らされ、縛りつけられて、殺される夢を毎日、見続けて。壁に血がついて見えたり、トイレの汚水が血に見えたりすると言っています」(栄治さん)

優奈さんの痛切な心の叫びが書かれた日記の一部

 当時の指導について、教委は取材に対し「当時の担任が精神疾患となり聞き取りができない」としつつ、「あとから見れば、最初から学校全体として対応すればよかったと思うが、当時としてはしかたがない」と述べた。

『いじめ防止対策推進法』に基づいて、両親は調査委員会の設置を教委に求めたが、教委は「教員と子どもの間で起きたことは、いじめではない」として応じていない。そればかりか「法的対応を伴う」として、この問題の対応に顧問弁護士を依頼した。

 優奈さんは現在も叱責の恐怖から復学できていない。

「誤った指導をすれば命を落としかねませんし、静観しているだけでは悪化していくだけ。娘が自分を傷つけることなく、死にたいと思わないような生活を送れるようにしてほしい」(栄治さん)

 優奈さんが回復し、安心して学ぶ環境を得られる日は、いつになるのだろうか。

(取材・文/渋井哲也)


しぶい・てつや ◎ジャーナリスト。自殺、自傷、いじめなど、若者の生きづらさに関するテーマを中心に取材を重ねている。近著に『ルポ 平成ネット犯罪』(ちくま新書)があるほか、現在、来年に刊行予定のいじめ問題に関する著書を執筆中