コーチ不在はかなりのマイナス

 今年6月、幼少時から師事した山田満知子、樋口美穂子両コーチ兼振付師のもとを離れることを宣言した宇野。その後、次のコーチが決まらず、今シーズンはコーチ不在のまま競技に挑むこととなった。

 しかし今回の試合結果を受けてか、フリー後のインタビューでは、新しいコーチを迎えることに前向きな姿勢を見せていた。

「コーチというものがいたほうがいいのかな。数試合経験することによって、断言はできないけれど、僕の弱さを少しでも一緒になってくれるコーチを、つけたほうがいいのかなと思っています」

 フィギュアスケート選手にとって、コーチとはどのような存在なのか。フィギュアスケート解説者の佐野稔さんは選手にとって精神的なよりどころになる存在だと語る。

「主に振り付けを行うコーチと、技術の指導を行うコーチの2人がつく場合が多いです。コーチは練習だけでなく、試合や私生活でも付き添うことが多く、非常に親密な状態が生まれやすい。本番前もリンクから見える位置にコーチがいることで、安心して滑ることができるという心理状態になります

 スポーツライターの折山淑美さんもコーチの大切さを強調する。

「今回、宇野選手はジャンプに対して不安が大きく、ショートのときの悪い精神状態をフリーに持ち込んでしまった。コーチがいれば、不安要素についてアドバイスをしてフリーに送り出せますから、違った結果になっていたかもしれません」

 精神的なサポートも行い、技術面でも緻密な指導を行うことができる存在。トップスケーターにとって、コーチがいないことはかなりマイナスになるようだ。しかし宇野には、譲れないこだわりがあるという。