シェルターのような窓なしの家を建てたい

 エッセイの中で《実家とは天国のような場所である》と記している岩井さん。

 現在のひとり暮らしの自宅と実家では、どちらが居心地がいいのだろうか。

どちらもいいですし、どちらも捨てがたいですよね。ただ、ひとり暮らしをしてから実家に帰ると、『窓のサッシが汚ねぇなぁ』って思うようになりました。

 ひとり暮らしの家は入居して3年くらいなので、そこまで汚れは目立たないのですが、実家は住み始めて20年くらいたってますから。居住年数はサッシに出るんだなぁって(笑)」

 窓のサッシに関して、岩井さんには思い描いている未来があるという。

実家を新しくしてあげたいなぁと思ってます。中古住宅だとサッシが汚れている可能性があるので、新築の家を買ってあげたいですね。僕の住まいとしては、ゆくゆくはシェルターのような窓なしの家を建てたいなぁと思っています」

 このように、岩井さんのエッセイは、日常の出来事を掘り下げつつ、読者に新たな視点やある種の爽快感を与えてくれる仕上がりとなっている。

「自分が面白いと思うことをひとりでも多くの人に伝えたいと思い、誰にでも読みやすいようにと心がけて書きました。33歳の独身でマザコンの男がどんな生活をしているのか、このエッセイ集を読むことで知ることができると思います」

ライターは見た!著者の素顔

 本書には『野球嫌いの僕が落合福嗣と神宮球場へ行った』というタイトルのエッセイが収録されています。結末に《野球観戦にはまた行きそうだな》と書かれていましたが、その後、観戦には?

行ってないですねぇ。たしかに野球観戦は楽しかったのですが、でも、自分から積極的に行こうとまでは思わないんです。僕を今、野球観戦に誘ってくれるのは落合福嗣さんしかいないので、つまり落合さんから誘われていないということです(笑)

(取材・文/熊谷あづさ)

『僕の人生には事件が起きない』(新潮社)岩井勇気=著 1200円(税抜)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
【写真】スマートな白シャツ姿で取材に答える岩井さん

●PROFILE● 
いわい・ゆうき 1986年、埼玉県生まれ。幼稚園からの幼なじみだった澤部佑と2005年に「ハライチ」を結成し、すぐに注目を浴びる。ボケ担当でネタも作る。アニメと猫が好きで、プロフィール写真に一緒に写っているのは愛猫のモネちゃん。