相方を越えてきた草薙

 そんな草薙も、テレビ出演を重ねる中で少しずつ変化してきたように思う。表情が穏やかになり、徐々に緊張感やたどたどしさも薄れてきた。象徴的なのは次の場面だ。

 周囲の芸人に「なんでニヤけてるの?」と指摘された草薙は、モニター越しに自分の顔をじっくりと見た。そして、「あ、今日はいい顔してる」と笑ったのである(『アメトーーク!』2019年6月6日)

 その変化は「成長」と言い換えられるだろう。そしてその「成長」ぶりは、相方の宮下との関係の変化にも表れている。バラエティー番組をあまり見ずに育ってきた草薙に、宮下はこれまで「お笑い」を指導してきた。

 例えば、録画した番組を草薙に見せてどこが面白かったか考えさせたり、草薙の番組出演の前には朝まで綿密なシミュレーションを繰り返したり。しかし、そんな宮下を、草薙が逆転する場面が散見されるようになる。

 番組にピンで呼ばれ実地での訓練をより多く積んだ草薙は、すでに宮下より「お笑い」的な立ち居振る舞いがうまい。にもかかわらず自分に「お笑い」を指導してくる宮下に、草薙はこう告げるのだ。

「あんまり言いたくないんですけど、俺もう、お前を越えたのよ」(『アメトーーク!』2019年8月8日)

 宮下が追い抜かれ役になることで、草薙の「成長」はより印象づけられている。

「お笑い第七世代」とくくられることが多く、仲のよい同世代の芸人たち。宮下草薙、EXIT、四千頭身/宮下のTwitterより
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 最近になって聞こえ始めたのは、そんな草薙の「成長」を心配し始める周囲の声だ。漫才を見たバカリズムは「どんどんうまくなってきてる」と評価しつつ、「これどうなんでしょうね? ヤバイやつ感っていうのも残していきたいじゃないですか」と語った(フジテレビ系『ネタパレ』2019年10月18日)

 食レポを見たマツコ・デラックスが、思ったよりも草薙のレポートがうまかったと指摘したうえで、「もっとできないのを見たいって思っちゃってる自分がいて。どうなの? どれが正解だと思う?」と困惑する場面もあった(テレビ朝日系『マツコ&有吉 かりそめ天国』2019年10月11日)