舞台に出続ける理由

 そのときそこにいる観客のリアクション次第で、1回1回、違うパターンが生まれることになる。佐藤さん、アドリブは得意?

「苦手なんですよ(笑)。いつも“あーそうか、あのときこう返せばよかったな”と後で思います。やっぱりその瞬間でバシッと決めるのは難しくて、打率はまだ低めですね(笑)。

 アメリカ人キャストの方からは“どんな反応も正解だから肯定して、とにかく前に進むことが大事”とアドバイスをいただきました。頭ではよくわかりますけど、できるかどうか。緊張するだろうなぁ」

佐藤隆太 撮影/齋藤周造
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 タイトルが意味する“ありとあらゆるステキなもの”とは、主人公が幼少期から、つらい体験を乗り越えるためにコレクションしている“お気に入り”のリストだ。

「僕もふと、リストに入れるものを考えることはありますよ。例えば、アメリカの劇場で書いたのは“この作品が日本で上演されること”。それから“新しく買ったスニーカーの箱を空ける瞬間”とか。きっとお客さんも観劇後には考えたくなっているはずです」

 映像の世界での活躍がめざましい佐藤さんだけれど、「舞台はコンスタントに出続けたい」という。なぜ?

「やっぱりナマのライブであるということは大きいですね。映像の仕事ではなかなか味わえない、贅沢な時間だと思うんですよね。

 そのときにその場所に集まった人しか感じることができない感動というのが“贅沢だなぁ”と思うんです。演じる側と見に来てくださったみなさんが本当にいい空気になって“ひとつになれているな”と感じる瞬間は、何物にもかえがたいものですから」

 そういう意味ではこの作品こそ、贅沢な瞬間を何度も味わえるポテンシャルを秘めていそう。

「そうなりうると思います。僕次第、ですね(笑)。そしてほかの作品以上に、演じる側の人間力が試されるとも思います。何かを隠そうとしてもバレてしまいますから」