例えば、大悟の強面の顔に対し、2014年の「帰ろか…千鳥」では「網走みたいな顔」と言ってスベっていたが、2015年の「反省会」では「懲役300年はやめぇ」とツッコんで笑いをさらっている。このころから、出身地の岡山弁が強調されてウケる量が増え始め、2016年の年末、彼らを象徴するフレーズの「クセがすごい」は『アメトーーク!』の流行語大賞に選ばれた。

 岡山弁をベースとした不思議な節回しで繰り出されるノブのツッコミ。それは苦い薬を飲みやすくする糖衣のように、大悟の強面や昔気質のキャラクターを和らげる。そしてなんだかボケのようにも聞こえる。

「『そっちのほう行かへんやろ』っていうようなツッコミも、岡山弁でやると『そがーなとこ行かまーが』って言うんですよ。アジアの料理みたいな。アジアのクセ料理みたいな」(テレビ朝日系『アメトーーク!』2017年11月30日)

 ツッコミなのにボケのよう。一度に2つの音がする。それが不協和音を起こさないのは、ノブの嘆き顔が為せる技だろうか。それまで“問題児”としてボケ的にイジられてきたことが効いているのだろうか。

 もはや岡山弁というか“ノブ弁”とでも呼べそうな特殊な言い回しを武器に、千鳥は全国区の人気芸人へと駆け上がっていった。