無職の夫にモラハラ発言

 28歳のときにテレビ制作会社のディレクターと結婚。30歳で長男を出産する。産休明けからは、『ニュースフロント』、『時事放談』などの報道番組を担当。33歳で次男を出産した後も、テレビとラジオで仕事を続けたが、'10年に退社し、独立した。局アナとしてやってみたかった仕事はひととおり経験し、今度は違う形で仕事をしてみたいと意気込んでいた。それも、夫が働いていたからこそ、できた決断だった。

TBS『時事放談』で司会・御厨貴のアシスタントを務める小島さん
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 ところが'13年春─。長年テレビ制作会社に勤務していた夫が「充電したい」と会社を辞めてしまう。長男が9歳、次男はまだ6歳だった。

「“なにぃ─!?”と思いましたよ。1度も想定したことのなかった事態でしたからね。ただ彼も1年間悩みに悩んで決めた結論でした。そんな人に“また就職しなよ”と言うのもかわいそうだった。私も会社を辞めていますからね」

 それでも、小島さんはしばしパニックに陥ったという。

「収入ゼロ、肩書ゼロのまったくの丸腰になった夫。私、生まれて初めて無職になった男の人を見たんです。そんな男性をどうやって尊敬すればいいの? と思ってしまった。それまで私は男の価値は肩書や年収で決まるとは思ってなかったのに、心が素敵だからこの人と結婚してるんだと思っていたのに、実は収入や肩書に物すごく執着していた自分がいた。それがすごくショックでした」

 突然、自分が大黒柱にならなきゃいけない、という不安から小島さんは夫を責めるようになっていた。

「あなたが仕事辞めたから、私はこんな不安な思いをしている。あなたにはお金を稼ぐ大変さはわかんないでしょう」

 そんな言葉を何度もぶつけた。「誰のおかげで食べていけると思っているのよ!」という言葉まで出ることもあった。

「本当にモラハラ的な自分が出てきちゃって、びっくりしました。そんな発言自体、自分は絶対に許せないと思っていたし、そんなことを思うはずはないと信じていた。マスコミの世界で男性と対等に20年近く働いてきた中で、どこかにそういうエリートサラリーマンの傲りの意識があったんですね。目の前に丸腰の人間が出てきたときに、居丈高な“上から目線”の態度が自分に現れたのです」

 そんな自分が嫌だった。しかし、家にいて家事に専念する夫の姿が目に入ると、つい攻撃的な言葉が口をついて出てきてしまう。どうにかして、厄介な自分の思い込みをはずす手段はないものか。

「考えた末に、収入も肩書もない彼を、そのまま尊敬できるような環境を作ればいいんだと思ったのです」