“おもしろそう”から芽生える防災意識

 そして「地震体験」では、油圧駆動による起振装置によって阪神・淡路大震災(震度6強)、東日本大震災(震度7)級の揺れが再現される。

「ドーン!」という地鳴りが聞こえるや、身動きすることもできずにひたすらテーブルの下で縮こまるしかない。空間全体が縦横にシェイクされる激しい揺れは、恐怖のひと言。

 あらためて「家具は倒れるもの」と認識し、揺られながら「家具転倒防止用品を用意しよう」と再び悟ってしまう。

ゲーム感覚でトライできる消火活動。普段、触れることのない消火器の使い方を学べる 撮影/渡邉智裕
ゲーム感覚でトライできる消火活動。普段、触れることのない消火器の使い方を学べる 撮影/渡邉智裕
【写真】車中閉じこもりに煙体験など、アトラクション感覚で楽しめる「防災館」

 備えるのは災害ばかりではない。“自分が助かる”だけではなく、“人を助ける”ことを学ぶ「応急手当体験」コーナーで、うろ覚えの知識を再確認する。

 心臓マッサージをしてみると意外に体力を使うことがわかり、「1人ではなく複数人で交代しながらマッサージしたほうがいい」というアドバイスにも大納得。

 さらにAEDの取り扱い方法もレクチャーしてくれるので、いざというときの大きな自信につながる。

 誰もが人命救助ができれば、災害、事故発生時において、私たちの生存確率がグッと高くなるわけだから、ぜひ身につけよう!

防災館は、誰でも気軽に楽しみながら防災について学べます。“おもしろそう”が入り口になって、防災意識が芽生えてくれたら」と防災館のあり方を話す、今村均館長。

「アトラクション要素があることで家族やカップルの方も多く訪れます。みなさん、帰るときには“自分の家は大丈夫か”“災害時にどうすればいいか”など、防災に対する理解や認識が確実に高まっているので、われわれとしてもうれしいかぎり」(今村館長)

 体験して学び、知識をつけて経験にすることで万が一のとき、いや、明日起きるかもしれない大災害にもパニックにならずに、自分がこれから何をすべきか冷静に対処できるはず。“備えあれば憂いなし”、その言葉の真意を噛みしめる防災館でした。


東京消防庁 本所防災
東京都墨田区横川4-6-6
開館時間 9:00~17:00(入館受付は16:30まで)
休館日 水曜日・第3木曜日(国民の祝日に当たる場合は翌日になります)
年末年始(12月29日~1月3日)
入館料 無料

取材・文/我妻弘崇